ペットの呼吸が早くなる原因とは
呼吸が荒いことは、症状の名前としては頻呼吸や呼吸速迫、開口呼吸、努力呼吸などと、状態に合わせて呼吸名が変わります。
結論から書くと、呼吸がいつもと比べて早くなる原因には
心臓疾患、呼吸器疾患、痛み、暑い(高体温)、不安、恐怖などがあげられます。
(診察室でも緊張から呼吸が早くなることはありますが、よほどのことがない限り自宅で恐怖を感じて呼吸が早くなる可能性は低いと考えられます。)
呼吸が早いワンちゃんを見た時に、「痛そうに・・・」とか「苦しそうに・・・」とか主観を混ぜて観察すると、本来の原因はともかく、なんとなく痛そうに見えてきてしまったりするので、様々な原因を考える必要があります。
もちろん、この記事を読めば今日から呼吸が荒い原因は見ただけでわかる!ということではありませんが、判断するうえで重要なことをいくつか書いてみます。
いつ呼吸が荒くなるか?
まず、呼吸が荒い状況があるとしたら、それは1日のうちのどのタイミングで、どのくらいの長さ起きるのかということです。
慢性的な痛みが原因であれば、一日の大半の時間、症状を出すはずですし、心臓疾患であれば興奮時や運動時、夜間に症状が出すことが多いです。
また、呼吸器疾患というのであれば、こちらも一日を通じて平均的に異常呼吸が出るはずなので、よくなったり、たまに悪いというのは、あまり典型的な症状ではありません。
気温と関係しているか?
また、暑いから?と思うところについては、室温を極端に下げて3時間ほど様子を見てみたり、よく水分補給することによって治まり、再発しない場合には暑かったからかな?ということになります。
これについては、室内でクーラーが聞いている部屋にいたとしても、ちょっと太っている仔だったり、ブルドッグやパグなどの短頭種だったりすると、暑さが原因の頻呼吸を起こすことはあります。
痛みが原因の呼吸促拍?
他に、痛みが原因だとすれば、頻呼吸を起こすほど痛い場合には、患部を触ると怒ったり、びっくっとなったりすることがほとんどです。
名前を呼びながら、体をゆっくりと触って、どこか痛そうな部位がないかどうか探すと、原因がわかることもあります。
また、体のどこかが痛くて頻呼吸を呈している場合には、呼吸の速さだけではなくて姿勢も変わっていることが多いです。例えば、「横になることができない」「背中をとても丸めている」「立ったまま、座らない」等です。
また、呼吸器疾患や心臓疾患の場合には、犬・猫ともにそういった病気が生じやすい品種・年齢・性別がありますので、身体検査の結果必要と考えられる場合には検査をして病気が見つかることもあります。
自宅での対処方法は?
いつ、どのようなタイミングで、どんな呼吸をしているのかを、メモや動画で記録して動物病院を受診しましょう。
また、気温が厚いと感じる場合には室温を下げて呼吸回数を測定して再評価するとよいでしょう。
まとめ
「呼吸が荒い」という症状が出た際に
・いつ、早くなって、どのくらい長く続くのか
・状態は、日に日に悪化しているのか、変わらないのか
・その時の姿勢はどうか
・散歩に行きたがるか
・今までに心臓疾患を指摘されたことがあるか
・暑い可能性はあるのか?(冷やしても治まらないのか)
等が重要な観察ポイントになるかなと思いますので、皆さんが診断する必要はないのですが、こういったことに重きを置いて観察した結果を問診の際に教えて頂けると、非常にスムーズに正しい診断を下せる可能性が高くなります。
また、異常呼吸の場合には病院に来て診察室内ではその呼吸をしてくれない場合もありますので、携帯電話などで録画しておくのも診察の助けになることがありますので、参考にしてみてください。
最後になりますが、ネコちゃんが開口呼吸になったら、それはかなり高い確率で何かしらの異常があります。
ネコちゃんが開口呼吸をしている際には状態を見ながら、速やかに病院を受診しましょう。
著者プロフィール
獣医師 吉川未紗
日本獣医生命科学大学付属動物医療センター 呼吸器科・腫瘍内科 研修生
当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。