佐倉しらい動物病院ブログ

病気・ケアの情報:アトピー性皮膚疾患

こんにちは、獣医師の白井顕治です。

病気の情報として、アトピー性皮膚炎について情報を掲載させていただきます。

最初にまとめ、そのあとにその説明をさせていただきます。

(関連記事「皮膚病の仔のスキンケアについて」)

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アトピー性皮膚炎の治療に関するまとめ

〇治療の目的はかゆみをコントロールすること。

〇アトピーかどうかをきちんと診断しましょう。

〇痒みは消せることが多い

〇大切なのはスキンケアと内科療法

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アトピー性皮膚炎は犬や猫に認められる、「皮膚バリアの異常とそれに伴う慢性炎症を起こす皮膚の病気」で、かゆみを伴う皮膚疾患です。

典型的には5歳以下程度に発症します。

  

痒がる場所としては、外耳、眼の周囲、口の周囲、わきの下、股、足先・手先などがあり、ここでいうアトピーの発症は「最初にどこかがかゆくなった時」を指します。

アトピー性皮膚炎は時間と共に症状が進行する病気であり、

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よくある主訴としては

〇最初は手先をかゆがっているだけだったが、最近口の周りやお腹もかゆがるようになってきた

〇昔は夏の暑い時期だけ耳や顔の周りをかゆがっていてその時だけ治療していたが、最近は春や秋もかゆがるようになってきた

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というのが日常的によく来院されるものです。かゆみが出る場所やかゆみが出る期間が徐々に多く、長くなってくることが多いです。

飼い主様から見てひどくなったのがごく最近でも、その仔の一生で見ればいつからかゆみが出ていたのかどこからかゆみが始まったのかというのが診断においては重要な情報となります。

アトピー性皮膚炎の診断

診断は、問診から見た経過と、その他のかゆみが出る皮膚疾患(主に感染症)を除外することにより行います。食物皮膚有害反応(食物アレルギー)とかなり似た症状が出るため、食物アレルギーを除外することはできません。

問診から食物アレルギーが疑われた場合には除去食試験などを行い診断を行います。

一般的に痒みの強さに季節性がある場合には環境性(つまりはアトピー性皮膚炎)の可能性が高く、嘔吐や下痢などの消化器症状を示していたり、食事を変更することによって皮膚のかゆみが悪化したり軽減される場合には食物アレルギーの疑いが強いとされていますが、かゆみを呈するペットの中には食物アレルギーとアトピー性皮膚炎を併発している症例もあるため、二つを必ずしも完全に区別することは難しいケースもあります。

アトピー性皮膚炎の治療の目標

お薬やスキンケアにより良好に維持することができれば、フケや脱毛も軽減され、一見するとアトピーとはわからないくらいの外見まで回復することはできます。

しかし、アトピー性皮膚炎は通常治療やケアに終わりはありません。途中で何の治療もしなくても皮膚症状が落ち着いたとすると、診断がアトピー性皮膚炎ではなかった可能性があります。

また、アトピー性皮膚炎であっても、都会から田舎の方へ引っ越しをすると皮膚症状が改善されたという事もあります。

一般的なアトピー性皮膚炎の治療の目標は、ペットが「少し痒い気もするけど、掻き毟るほどではない」くらいにかゆみをコントロールしてあげる事です。もちろん、かゆみが一切無くなればよいのですが、現在の獣医学皮膚科としてはアトピーは完治することのできる病気ではありません。

治療しなくてもかゆみが消える、通院しなくても大丈夫な皮膚になることが治療の目標ではありません。

そのことを念頭において治療を開始しましょう。

アトピー性皮膚炎の治療の治療方法

アトピー性皮膚炎のかゆみを抑えるために、大切なことは

1、アレルゲンとの接触の軽減

2、皮膚の正常化

です。

1と2をしっかりと行うことにより、かゆみの軽減につながり、「掻く」という物理的な刺激が皮膚に加わらなくなると、皮膚はゆっくりと正常化されていきます。

1、のアレルゲンとの接触の軽減についてはお洋服を着たり、定期的に体を拭いてあげる、シャンプーなどのスキンケアによって行っていきます。

このことのついては、また別の記事で詳細に触れたいと思います。

また、2の皮膚の正常化のためには皮膚を掻き壊さないことや皮膚にいる細菌叢の正常化皮膚バリアの正常化などが重要となります。

この皮膚の正常化は内科療法適切なスキンケアを数週間から数か月行うことにより徐々に達成されていきます。

皮膚が正常化されると、当初よりも痒みのレベルが提言されるため、必要な内服薬の量やスキンケアの頻度も下げることができます。

こちらも選択できる内科療法やスキンケアについては別の記事で詳細に触れさせていただこうと思いますので、参照ください。

(関連記事「皮膚病の仔のスキンケアについて」)

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