佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】犬の子宮蓄膿症とは?症状・原因と治療法について解説

犬の子宮蓄膿症とは

犬の子宮蓄膿症とは、子宮内に細菌感染が起こり、蓄膿してしまう病気を指します。猫にも発生しますが、発情様式の違いにより、犬と比較して発生数は多くありません。英語ではPyometra(パイオメトラ)という名であるため、省略して「パイオ」と呼ばれることもあります。動物病院で使用される場合には、子宮蓄膿症でもパイオメトラでも、パイオでも、同じ状態を指していると考えてよいでしょう。

犬の子宮蓄膿症の症状とは

犬の子宮蓄膿症の症状は様々ですが、発熱や元気消失、食欲低下などは比較的よく認められる症状です。そのほか、認められることもある症状としては、陰部からの排膿や多飲多尿、下痢や嘔吐、中には発作のような症状を起こすこともあります。

これらの症状は絶対に発生するわけではありませんので、典型的に発生しやすい「否認していない中年齢以降の雌犬」が体調不良となった場合には常に疑う必要がある疾患の一つです。

蓄膿し、普段と比較して拡張した子宮

犬の子宮蓄膿症の原因

犬の子宮蓄膿症は子宮内に細菌感染が起こることによって発生しますが、細菌のみが原因ではありません。体側の要因として、未経産である場合には卵巣や子宮に何らかの異常を伴っており、細菌感染が発生しやすくなっている場合があります。

子宮水腫や子宮内膜症は子宮蓄膿症の前段階の病変と言われているため、こういった基礎的な生殖器疾患の存在も発生の原因となります。

子宮蓄膿症にかかりやすい犬種は

犬種によって発生しやすいという根拠の強い報告は、探した範囲では発見することができませんでした。

繰り返しになりますが、典型的になりやすいのは犬種というよりも「避妊手術をしていない中年齢以上の雌伊野の発情後」です。

ただし、2歳くらいで発病したり、発情と一切関係なく発生したりすることもあるため、あくまで典型例です。

犬の子宮蓄膿症の治療法について

治療方法は外科的な治療と内科的な治療に分けられます。

外科的な治療は麻酔をかけて、卵巣と子宮を摘出することによって、蓄膿している原因臓器を取り除くことができます。通常は腫瘍性疾患の関与はないため、無事摘出手術が行うことができれば、完治することができる疾患です。

ただし、発見された時の病状によっては子宮蓄膿症は全身性に炎症反応を誘起させDIC(播種性血管内凝固症候群)を起こすこともある疾患です。わかりやすく言うと、死ぬ可能性がある病気です。手術をすれば助かるかというと、非常に状態が悪くなってから病院で診断された場合、手術の前や、手術中に命を起こす可能性がある疾患であることを知っておく必要があります。

内科療法については、一時的な改善のみで再発しやすいということが報告されているため、基本的に推奨されていません。

「どうしても手術をしたくない。再発してもかまわないから、今だけよくしてほしい。第一選択の治療より危険性があってもかまわない。」そういったことを希望し、同意ができる場合には、行うこともあります。

【症例】

雑種犬の乳腺癌と子宮蓄膿症

ヨークシャーテリアの鼠経ヘルニアと子宮蓄膿症

チワワの子宮蓄膿症

ゴールデンレトリバーの卵巣顆粒膜細胞腫と子宮蓄膿症(パイオメトラ)

犬の子宮蓄膿症の予防方法

最も有効な予防方法は、避妊手術を受けておくことです。この避妊手術を行う適期は報告によりさまざまで、古い報告では初回の発情(犬種にもよりますが、小型腫であれば生後8-10か月齢ほど)までにということが言われています。この手術の適期という情報は「乳腺腫瘍」の予防のために言われているタイミングですので、「子宮蓄膿症」に関していえば、蓄膿を起こす前であればいつでも予防することはできます。例えば、「4歳になってしまったから遅すぎる」といったこともありません。

費用について

費用は動物病院と、そのペットの状態に応じて様々だと思います。持病の有無、犬種(短頭種かどうかや、体重など)、現在の状況(手術までに、体調を改善させるための入院期間がどのくらい必要か)、術後どのくらいの入院期間が必要かなどが費用が変動する内容になると思います。目安の費用は、かかりつけの動物病院の受付に聞くのが一番詳しく、実際の金額に近いと考えられます。

千葉県、佐倉市近隣で、子宮の病気を疑う症状が認められた場合には、お気軽にご相談ください。

子宮疾患の診断および治療に関して経験豊富な獣医師が対応させていただきます。

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千葉県佐倉市の志津・佐倉しらい動物病院

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)副院長

獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)内科認定医・総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

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