こんにちは、獣医師の白井顕治です。
この記事では、定期検診を受ける間隔について記事にさせて頂きます。
まず、定期検診は大きく分けて
①すでに持っている病気の観察のため
②現在は健康だが、病気の早期発見や健康状態の確認のため
ということになります。
①については、持っている病気によって、検査内容や検査の間隔が異なります。
この間隔について国際的に決められているものはなく、各々の獣医師が決めていることが多いです。
当院においては、各診療科の専門医が推奨している検査間隔を採用しているというのが現状です。
(しかし、専門家の間でもまだ意見は統一されていないことが多いです。)
例として慢性腎不全のネコの場合には定期検診として血液検査や血圧測定、尿検査などがあげられますが、そのおのおのの検査の間隔は血液検査であれば6~12か月おき、血圧測定は4~6か月おき、尿検査は2~3か月おきとしています。
この検診の間隔は、日本動物病院協会の主催している国際セミナーに招致された泌尿器の専門医が一般的に推奨しているものを抜粋して使用しています。
もちろんこれは良好に維持できている状態での話なので、その間に体調を崩した時などは随時対応していきます。
話は複雑になりますが、現在健康である仔であっても、未来に病気になる可能性は皆あります。と同時に、現在腎臓や心臓病を患っている仔であっても、その臓器以外が病気になってしまう可能性はほかのこと平等またはそれ以上の確率であります。(持病が次の病気の誘発をしてしまう場合があるため)
そのため、健康な仔であっても、そしてすでに病気で定期検診を受けている仔でも、その検診対象の臓器以外も定期的に見てあげることは重要であるということです。
②の状態については、3歳以上であれば年に1回程度、8~9歳を超えたら半年に一回程度は何らかの検査をしてあげたいところです。
しかし、どこまでの検査をすれば病気が早期発見できるかというのは本当に難しい話です。
診察中も時折、例に出すわんちゃんですが、3か月おきに胆嚢のエコーを当てていたのですが、ある日の検診で突然直径4センチの肝臓腫瘍が見つかりました。
前回の検査時には全く確認されなかったため、この間の2カ月ほどで4センチまで腫瘍が成長したということです。
よくある事ではありませんが、全く起きないことではないということです。
この記事で言いたいことは、「〇〇カ月おきの検診が一番!」みたいなことは言えなくて、そのペットの現状(品種・性別・年齢・既往歴など)と、性格を加味したうえで、ご家族と相談しながら決めていく必要があるということです。
逆に、検査をやればやるほど良いのかといえば、ペットの性格上、それがストレスになって病気が悪化しやすくなるタイプの仔もいれば、費用が掛かりすぎてしまいコンプライアンスが悪化してしまうということもあります。
(検査を非常にこまめにかつ完全に行うと、動物の身体的負担のみでなく、費用的にも現実的な話ではなくなってしまいますよね…)
一言で言えるような正解はないということですね。
かかりつけのお医者さんとよく相談して決定して、付き合って、生きていくことが重要といえます。