実績詳細

ハリネズミの口腔内扁平上皮癌

種類 ハリネズミ
年齢 3歳
診療科目 エキゾチック診療科 
症状 口周囲の腫れ、食欲不振を主訴に来院

症状の概要

ハリネズミの口腔内疾患では嗜好性の変化、食欲低下、採食困難、口腔内の出血、流涎、口臭などのような症状がみられるが、明らかな臨床症状を伴わず口腔内検査の際に偶発的に見つかることも多いので身体検査をしっかりとおこなうことが重要である。


ハリネズミでは中高齢の個体では、歯石の沈着や歯肉炎などがしばしばみられる。歯肉炎や歯周病の予後は比較的良好で、歯周疾患の場合、歯肉炎は歯肉部に発生した腫瘍のように顕著な増殖性病変として見られることが多い。
ハリネズミに発生する腫瘍の約8割が潜在的に悪性であると言われている。
口腔内腫瘍はハリネズミの腫瘍性疾患の中で3番目に発生が多く、口腔内腫瘍では本症例にあるような扁平上皮癌が最も多い。

腫瘍性疾患は3歳以上の高齢のハリネズミに多く、口腔内の扁平上皮癌は局所浸潤性が強く、骨融解が認められることが多く、臼歯に浸潤が認められることもあるが、遠隔転移が起こることはまれとされている。
治療は外科的切除が第一選択となるが、浸潤度により完全切除が困難な場合も多い。
病状の進行により、顔面の変形や流涎、口腔内出血、採食困難による削瘦などがおこる。
口腔内腫瘍は悪性度が高く、再発率も高いため、早期発見し積極的治療おこなうことが大切である。

検査結果

・歯肉炎が認められたため、抗生剤と消炎剤を処方し、口周囲の腫れも改善が見られ、食欲不振が改善した
・半月後、再び口周囲の腫れ、食欲不振を主訴に来院(初診時より腫れ++)
・前回は認められなかったが今回は、口腔内より出血も見られ、前回よりも明らかに下顎が腫脹していたため、麻酔下で検査の予定を組んだ

 

 

・麻酔下にてレントゲン検査と切除生検を実施
・レントゲン検査において下顎の骨融解像が認められた
・病理検査にて扁平上皮癌と診断された
・診断後は、対症療法としてAP水での口腔内洗浄、抗生剤、消炎剤の投与を行っている

 

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以下病理検査所見

検索した口腔内の組織には、悪性の上皮性腫瘍が形成されており、扁平上皮癌と診断されます。
浸潤性の強い、悪性度の高い腫瘍であることから、更なる病変の拡大や骨の破壊、リンパ節の状態について、経過には注意が必要です。

 

 

治療方法

ご家族と相談のうえ、現在は対症療法を実施している。

治療・術後経過

外科的な摘出が難しい悪性腫瘍であるため、予後は不良と考えられる。

 

 

担当医:清水

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