実績詳細

ミニチュアダックスフントの乳腺腫瘍と子宮水腫の手術

種類 ミニチュアダックスフント
年齢 10歳4か月
診療科目 軟部外科・整形外科 腫瘍科 
症状 乳腺にしこりがある。手術をしたい。

症状の概要

発生率としては、犬に発生した腫瘍の中では、乳腺腫瘍は比較的に良く遭遇する腫瘍である。できたばかりの乳腺腫瘍を、外見だけで両性花悪性化を判断することはできないが、確率論的には良性:悪性は1:1程度といわれている。しかし、単純に確立だけではなく、腫瘤が存在していた時間や大きさも判断基準に加わるため、1個しかなかったとしても大型の腫瘤を形成している場合には注意が必要である。
また、乳腺由来の腫瘍は診断時は良性の乳腺腺腫であっても、数年後に悪性化することがあるため、良性乳腺腫瘍疑いでも通常は手術適応となる。しかし、高齢犬であって良性腫瘍が疑われる場合には、手術以外の方法によって経過を観察していくことも大切であるため、主治医とよく相談して今後を決定する必要がある。

検査結果

症例は右第二乳腺に直径4センチほどの腫瘤があり、本人は当該腫瘤を気にしている様子はなかった。

また、身体検査を実施したところ、目立つ主流の尾側にももう一つ乳腺部のしこりが確認された。

乳腺由来の腫瘍の可能性が高いと判断されたが、良性悪性の指標を得るためにも細胞診を実施した。

ーーー以下細胞診所見ーーー

いずれの腫瘤からも、上皮細胞が多数得られており、乳腺腫瘍が疑われます。
1の腫瘤は臨床所見から嚢胞状を呈していることが示唆され、異型性に乏しいことから、良性の乳腺腺腫が疑われますが、乳腺腫瘍の悪性度は細胞異型性の程度と相関していないことがあり、大型の病変であることから、組織学的評価が必要です。
2の腫瘤も比較的大型で、一部には比較的強い異型性が認められることから、悪性の病変である可能性があります。

ーーーー

 

また、全身検査の一環として実施した腹部超音波検査において、子宮水腫が認められた。

 

ご家族と相談した結果、卵巣子宮、および右側乳腺全切除を行うこととした。

治療方法

術前の外貌

目立つしこりと、その尾側にもう一つしこりが存在する。

 

まず開腹を行い、拡張した子宮及び左右の卵巣を摘出した。

その後、腹筋を閉鎖し、右側乳腺全切除に移った。

 

乳腺を前方、後方に分断し、それぞれ摘出を行った。

 

皮膚を伸展させ、縫合線に張力がかからないよう縫合を実施した。

また、ドレーンを設置した。

 

 

治療・術後経過

術部は感染も起きず、良好に閉鎖した。

手術から3日ほどでドレーンを除去し、

手術から14日ほどで全抜糸を実施した。

 

ーーー以下病理組織所見ーーー

 

摘出された乳腺では、複数の部位に結節性の腫瘍が形成されており、いずれも良性の乳腺腫瘍と診断されます。腫瘍の境界は明瞭で、周囲組織への浸潤性は認められません。摘出状態は良好で、今回の切除により予後は良好と考えられます。
左側乳腺部の皮下の腫瘤は良性の脂肪腫と診断されます。摘出状態は良好で、この腫瘍に関しては今回の切除により予後は良好です。
子宮では、子宮角は粘液貯留により拡張しており、子宮水腫と診断されます。今回検索した組織では、腫瘍や炎症性の変化は認められません。卵巣は、明らかな病変は認められません。

 

ーーー

病理組織検査においても良性乳腺腫瘍、混合腫瘍であったため、予後は良好と考えられる。

現在経過観察中

 

 

担当医・執刀医:白井 顕治

 

 

参考ページ

犬の乳腺腫瘍の特集

 

 

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