乳腺腫瘍は犬に発生しやすい体表腫瘍である。乳腺部位にしこりが発生した場合、その部位には乳腺本体である乳腺に由来する腫瘍(良性の乳腺腺腫や、悪性の乳腺癌)の可能性もあるが、その他にも血管、神経、繊維組織、皮膚、脂肪組織などが存在するため、それらに由来する腫瘍である可能性もある。また、乳腺炎のように炎症で腫れて椅子だけである場合や、乳汁を異常産生してしまい、それが溜まっているだけという事もあり得る。乳腺部のしこりを確認したら必ず手術になるという事ではないため、しっかりと検査を行い治療・観察していくことが重要といえる。
乳腺腫瘍に関しても、早期の良性の段階で手術を行うのが再発率や手術時間、切除する乳腺の組織量や本人の体力的にも最も軽いといえますので、様子を見ることが希望の場合は、検査を実施して様子を見てよい腫瘤かどうかを確認してから経過観察を行いましょう。
実績詳細
ミニチュアダックスフントの乳腺腺腫(良性乳腺腺腫)
種類 | ミニチュアダックスフント |
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年齢 | 10歳2か月 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 |
症状 | 右の乳腺にしこりがあり、最近大きくなってきている |
症状の概要
検査結果
症例の乳腺部のしこりは以前にFNAを実施し、乳腺由来腫瘍であることがわかっている。
この度、拡大傾向が認められたため、手術を決断した。
術前検査では異常所見はなく、転移を疑わせる所見も認められなかったため、手術を実施することとした。
治療方法
まず卵巣及び子宮の摘出を実施した。
肉眼的には、卵巣と子宮に異常は認められなかった。
次いで、しこりのある乳腺を含めて右第3.4.5乳腺及び鼠経リンパ節の切除を行った。
治療・術後経過
術創は良好に癒合した。
ーー以下病理検査所見ーー
右4、5乳腺では、結節性の腫瘍が形成されていますが、良性の乳腺腫瘍と診断されます。腫瘍の境界は明瞭で、マージン部や右鼠径リンパ節に腫瘍性の病変は認められません。摘出状態は良好で、これらの腫瘍に関しては、今回の切除により予後は良好と考えられます。
子宮では、内膜の状態は保たれており、明らかな炎症や腫瘍性の病変は認められません。また、左右の卵巣にも著変は認められません。
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術後より食欲旺盛であり、退院した。
乳腺腫瘍に関して予後は良好である。
担当医・執刀医:白井顕治
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