こんにちは、獣医師の白井顕治です。
この記事では、ヘルニアという状態について記事にさせて頂きます。
(記事内の病名のリンクをクリックすると、当院におけるその病気の症例紹介のページへ移動します。)
「ヘルニア」と聞くと、個々人のこれまでの経験にもよりますが、多くの方は腰の病気を思い浮かべるんじゃないかなと思います。
病名としては、椎間板ヘルニアですね。
でも、ヘルニアという単語は、腰の病気だけを指すわけではありません。ヘルニアというのは病気の状態の名前ですが、
「ある一定の場所におさまっているべき構造物が、違う場所に出てしまう」ことを指しています。
ヘルニアの種類には、椎間板ヘルニア、会陰ヘルニア、鼠径ヘルニア、脳ヘルニア、臍ヘルニア、横隔膜ヘルニア、腹壁ヘルニアなど、多くの種類があります。
飛び出る場所や、飛び出る内容物、飛び出た結果によって何かを圧迫するかによって症状が変わります。
いくつかを例にとって話すと、例えば椎間板ヘルニアでは、脊椎と脊椎の間にある椎間板という物質が、椎間から脊柱管という脊髄のある場所に飛び出て、その結果脊髄を圧迫してしまうことにより腰の痛みや麻痺を発症します。
また、会陰ヘルニアでは、肛門の左右にある会陰という部分の筋肉が菲薄化し、その菲薄化したことによってできた穴からお腹の中の臓器が飛び出てしまうことによってヘルニアを発症しますが、飛び出る臓器は、直腸・小腸・膀胱・子宮・腹腔内脂肪など多岐にわたり、出た臓器によって便秘や排尿困難など、変化します。
脳ヘルニアは、生まれつきの異常(水頭症など)や、脳腫瘍などの脳圧が高くなってしまう病気に罹患すると、後頭部から脳の一部が頭蓋外に飛び出てしまう状態ですが、程度によって中枢神経症状が現れます。
治療方法については、それぞれのヘルニアによってもちろん異なりますが、飛び出てしまったものを除去したり、飛び出た穴をふさいだり、飛び出てしまった理由を除去したりして改善させます。
それぞれの病気が疑わしいなと感じた際には、お気軽にご相談ください。