佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】犬の巨大食道症について、原因や治療法について解説

犬の巨大食道症とは

犬の巨大食道症とは、食道の筋肉がうまく動くことができずに弛緩してしまう疾患です。
食道の蠕動不全により、飲み込んだ食べ物を胃に送り込む動作がうまく行えなくなってしまいます。

巨大食道症と似ている犬の病気

巨大食道症とよく混同されたり、診断を誤ってしまいやすい疾患として、食道アカラジアや食道炎、食道狭窄や血管輪による食道狭窄(右大動脈弓遺残)などが挙げられます。

右大動脈弓遺残により形成された血管輪によって、食道の一部が狭小化している。

犬の巨大食道症の原因

巨大食道症は特発性に発生することもあれば、続発性に発生することもあります。続発性に発生する場合には、腫瘍疾患の随伴症候群として発生したり、重症筋無力症や多発性筋炎、甲状腺機能低下症に続いて発生することがあります。

犬の巨大食道症の診断法

診断法は透視下でのバリウム造影検査が診断しやすいです。
透視検査はレントゲン写真検査が動画になったような検査なので、嚥下の過程をよく観察することができます。

また、そのほかの疾患の除外のために、エコーやCT、抗アセチルコリンレセプター抗体やクレアチニンキナーゼ(CK)、甲状腺ホルモンの測定も必要に応じて併せて行います。

犬の巨大食道症の症例に対してバリウム度混ぜたウェットフードを給餌して撮影したレントゲン写真

症例:トイプードルの局所型重症筋無力症による巨大食道症

犬の巨大食道症の内科療法

原発疾患がある場合には、そちらの疾患をコントロールすることが第一の治療となります。
特発性の場合には、プレドニゾロンの使用を検討することもあります。

犬の巨大食道症の食事療法

食事は吐出が起きにくいように食後しばらく立位に保てるように立たせて食事を行います。
食事内容は液状のものやふやかしたフード、ドライフードなど、複数の形状のフードを食べさせてみて、最も吐出が起こりにくいものを選択していきます。

食べたものや嚥下した唾液の吐出により誤嚥性肺炎を起こすリスクが常にあります。十分な食事をとるために胃瘻チューブを設置することを考えることもあります。

ただし、胃瘻チューブを設置しても誤嚥性肺炎のリスクは軽減されないという報告があります。

まとめ

犬の巨大食道症は有名な疾患ではありますが、診断される機会はそう多くはありません。

診断された場合には誤嚥性肺炎などのリスクを踏まえて適切に管理していくことが重要となります。

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)内科認定医・総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。

【キャットフレンドリークリニックに関する情報はこちら】

お気軽に
ご相談ください

志津しらい動物病院043-462-1122 受付時間 9:00~11:30 15:00〜18:30

佐倉しらい動物病院043-483-1212 受付時間 9:00~11:30 14:00~17:30

お問い合せフォーム
インターネットでカンタン相談

病院案内アクセス
駐車場有・近隣にコインパーキング有