佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】犬と猫の眼球摘出について:適応や費用について解説

(※症例の患部の写真がございます。苦手な方はご注意ください)

眼球摘出術とは

眼球摘出は、文字通り眼球自体を摘出する手術であり、全身麻酔下で実施されます。

眼球自体を摘出するため、義眼や強膜内シリコンボール挿入術とは異なります。

眼球自体を摘出するため、摘出後の点眼治療などはなくなります。

眼球摘出の適応となる疾患

腫瘍や外傷による眼球突出、眼球破裂、緑内障の時に眼球摘出が実施されることがあります。

眼球に発生する腫瘍

眼瞼(まぶた)や結膜や強膜、虹彩や網膜に発生することがあります。メラノーマ(悪性黒色腫)やリンパ腫、肥満細胞腫や軟部組織肉腫(血管肉腫など)などが発生します。(そのほかの腫瘍が発生する可能性もあります)

眼球内に腫瘍が発生した場合には、細胞診を行うことができないため、眼球摘出後に病理診断することとなります。

また、眼球付近に腫瘍が形成された場合に、マージンとして眼球摘出が選択される場合もあります。

雑種犬の眼球メラノーマ

腫瘍以外の病状での眼球摘出

外傷による眼球突出で、眼窩の中に戻すことができない場合や、眼球破裂、眼球内の炎症、緑内障で義眼手術が選択されない場合などで、眼球摘出が選択される可能性があります。

雑種ネコの眼球摘出

眼球摘出後はどうなる?

通常、眼球摘出が選択されるような場合では、眼球が本人に不快感や疼痛を与えているため、術後は術前と比較して穏やかに暮らせることが予想されます。

摘出後の視野は?

摘出してしまった場合、摘出側の視力はなくなります。ただし、多くのケースで、腫瘍や障害によって摘出前から視力は制限されていることが多いため、術前と比較して見えにくくなってしまうということはあまりありません。

ただし、まぶたに腫瘍が形成されているような場合では、眼球としての機能がまだ残っていますので、そういうケースにおいてはリスクベネフィットを勘案して眼球摘出の実施を検討します。

眼球摘出の費用は?

眼球摘出の費用は手術費用に加え、摘出後の眼球の病理組織検査費用や入院費などがかかります。

眼球摘出術以外の義眼や内科治療のプランがある場合には、そういったケースと比較することも重要と考えられます。

【当院の費用についてのページ】

まとめ

眼球摘出術は、犬と猫において、摘出したほうがペット自身に対してより健康上でプラスになると判断される場合や、そのほかの手段と比較して費用面やケア面から選択されることがある手術方法です。

眼球摘出以外に方法がない場合もあれば、やむを得ずに眼球摘出を選択する場合もあります。

眼球疾患でお困りの場合には、お気軽にご相談ください。

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)内科認定医・総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。

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