佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】犬や猫の目が白い?白内障との見分け方は?

(※症例の患部の写真がございます。苦手な方はご注意ください)

眼が白いと感じる場合

白目は普段から白いため、「白くなりました」という主訴はあまりありません。

黒目の中の構造である、角膜や前眼房、水晶体が白くなると、「目が白くなりました」という主訴で来院されます。

角膜が白くなる

角膜は目の最も表面の透明な構造物です。

炎症や傷などによって、水分の含有量が増えたり、結晶が沈着したり、線維芽細胞が増殖したりすると通常と比較して透明度が下がり、結果として白く見えます。

角膜結晶沈着症や角膜ジストロフィー、角膜潰瘍や角膜内皮ジストロフィー、SCCEDs(自発性慢性角膜上皮欠損症)、逆さまつ毛などによる慢性的な刺激などによって、kぁ九幕が白くなる病態が発生します。

その他、角膜に穴が開いてしまった後(角膜穿孔)、穴をふさぐために形成されるフィブリンの塊も白いため、主訴として目が白くなったといわれることがあります。

マイボーム腺機能不全による慢性刺激による角膜障害

角膜内皮ジストロフィーと、角膜潰瘍による角膜浮腫

睫毛乱生(逆さまつ毛)による慢性刺激

角膜融解による角膜浮腫

水晶体が白くなる

水晶体が白くなる病態としては、白内障や核硬化症があげられます。診断は散瞳処置を行った後にスリットランプ検査を実施したり、超音波検査などで水晶体内の構造を確認することによって行えます。

白内障

核硬化症

前眼房が白くなる

角膜と虹彩の間を前眼房といいます。ここに白色の沈殿物が溜まると、眼が白くなったように感じることがあります。

白く見えるものとして、フィブリンや白血球(膿)、腫瘍などがあげられます。

ブドウ膜炎によるフィブリンの蓄積

眼内リンパ腫

まとめ

眼が白く感じる場合には、眼の表面から奥にかけて様々な部位での異常が考えられます。

検査を適切に実施して、きちんと診断を下して治療をしてあげましょう。

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)内科認定医・総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。

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