佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】犬と猫の口の中の腫瘍について解説

口の中の場所の分類

同じ腫瘍であっても、発生部位によって転移率や浸潤性が異なる場合があります。口の中の部位の分類として

歯肉、舌、口蓋、頬粘膜、扁桃、咽頭、上顎骨、下顎骨、などに分類されます。

口の中に発生することの多い腫瘍

犬と猫で発生することの多い腫瘍が異なります。

犬ではメラノーマ(悪性黒色腫)や扁平上皮癌、繊維肉腫や形質細胞腫、棘細胞性エナメル上皮腫や骨肉腫などが認められます。

猫においては、扁平上皮癌や唾液腺癌などが認められます。

口の中にできる、非腫瘍性の病変

腫瘍ではない腫瘤性病変として、慢性刺激の結果に発生した肉芽腫性の病変や、含歯性のう胞、慢性口内炎、ガマ腫(唾液腺のう胞)などがあげられます。

口の中に腫瘍ができると起こる症状

口腔内に腫瘍が発生すると、

口臭が悪化・流涎・よく水を飲む・嚥下困難・声の変化・呼吸音の変化・いびきの発生などが症状として現れることがあります。

また、口は水・空気・食べ物の入り口なので、腫瘍が進行すると物理的にこれらの重要なものを体に取り入れることができなくなってしまう恐れがあります。大型の腫瘍の場合には誤嚥性肺炎に注意する必要が常にあります。

口の中の腫瘍の診断方法

口の中の腫瘍の診断には細胞診は通常用いません。

全身麻酔下で口腔内から組織の一部を切り取って診断を行います。

また、その際に腫瘍のステージングや浸潤度を評価する目的でCT撮影や所属リンパ節の細胞診を実施します。

口の中の腫瘍の治療方法や費用について

腫瘍の種類、発生した場所、ステージによって治療方法が変わってきます。多くの場合、切除可能であれば積極的な外科治療と、術後の化学療法もしくは放射線療法を組み合わせることが最も積極的な治療となります。

口腔の一部を積極的に切除を行うと、眼房の変化や術後の食事のサポートが必要となることが多いため、費用と共にご家族と治療方針を決めていくことが重要となります。

こういった治療内容が決まってくると、かかってくる費用が決まる流れになります。そのため、治療内容を決定するためにも腫瘍の種類とステージングの診断が重要といえます。

腫瘍の診断のためには、麻酔前検査・全身麻酔・組織生検やCT検査・リンパ節生検などを実施して診断を行います。(検査の例です。施設ごとに必要とする検査が異なりますので、正確な情報は各主治医に問い合わせてみるとよいでしょう。)

口の中に腫瘍ができたときの余命は?

口の中には良性の腫瘍も数多く発生するため、「口にしこりを見つけた=治療をあきらめる」ということはしないほうが良いでしょう。

診断される疾患によって、「余命は一切変わらない~余命数か月」まで様々です。

まとめ

口腔内腫瘍は、人と比較してペットでは発見が遅れる傾向にあります。そのため、もしも発見した際にはなるべく早く動物病院に相談して診断・治療へと進んでいくことが重要といえるでしょう。

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。

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