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オカメインコについて
オカメインコは体重 80〜120g前後 と、セキセイインコよりもやや大きめの中型インコです。温和で人に慣れやすく、頬のオレンジ模様や長い冠羽が特徴的です。寿命は10〜15年ほどと比較的長寿で、家庭で人気のある鳥です。
性格は穏やかですが、驚きやすくストレスに弱い一面もあり、環境の変化が体調に影響することがあります。
オカメインコが嘔吐や下痢をする症状について
オカメインコが吐くときは、首を振りながら餌を飛ばすように吐き戻すことがあります。餌のかけらが顔や周囲に散らばるのが特徴です。
下痢では、通常3層(糞・尿酸・尿)に分かれている便が水っぽく混ざり合い、ケージの底が濡れるようになります。羽毛が汚れていたり、嘴や顔が濡れているときは要注意です。
嘔吐や下痢があっても生理的な場合
必ずしも病気とは限りません。
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発情期の吐き戻し:飼い主やおもちゃに餌を与えるように吐き戻すことはよく見られます。
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一時的な軟便:環境が変わったときや緊張したときに、一過性に軟便になることもあります。
ただし、元気がない・食欲がないと同時に起きている場合は病気の可能性が高いため注意が必要です。
病的な嘔吐や下痢の種類や病気
オカメインコは呼吸器疾患や消化器疾患に注意が必要です。
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そのう炎(細菌・真菌):未消化の餌を吐く、食欲低下、口臭。
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トリコモナス症:黄色い粘液を吐く、口腔粘膜の炎症。
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腸炎(細菌性・寄生虫性):下痢や体重減少を伴う。
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アスペルギルス症などの真菌性呼吸器疾患:吐き気や体重減少とともに呼吸症状を呈することがある。
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腫瘍や内臓疾患:中高齢の個体では慢性下痢や持続的な嘔吐の背景に隠れていることもある。
消化器症状を呈していたオカメインコ
診断するための検査について
動物病院では以下の検査を行うことがあります。
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身体検査・体重測定:急な体重変化は重要なサイン。
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口腔内・そのう検査:そのうの内容物を直接顕微鏡で観察し、細菌・真菌・原虫の有無を確認。
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糞便検査:寄生虫や腸内環境の異常を調べます。
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レントゲン検査:そのうや消化管、胸腔内の異常を評価。呼吸器疾患の確認にも有用です。
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血液検査(必要に応じて):全身状態や内臓機能を把握します。
まとめ
オカメインコの嘔吐や下痢は、発情期やストレスによる一時的なものもありますが、そのう炎や腸炎、呼吸器疾患などの重大な病気のサインである場合もあります。
オカメは穏やかな性格ですが体調の変化を隠しやすいため、顔や羽毛が汚れている、便の状態がおかしいと感じたら、できるだけ早めに受診することが大切です。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士
日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。