佐倉しらい動物病院ブログ

🐦 鳥のそのう検査について

🔹 そのうとは?

そのう(嗉嚢)は、食道の一部が膨らんだ**「食べた物を一時的にためておく袋」**です。
食後に首元がふっくらするのは、この部分に餌が入っているからです。
そのうは「消化の前段階」で、食べた餌の状態や細菌・真菌(カビ)などの異常が現れやすく、
健康状態を知る上でとても重要な臓器です。


🔹 お迎え検診でのそのう検査

新しく鳥をお迎えした際の健康チェックでは、そのう検査がとても重要です。

ペットショップやブリーダーから迎えた直後の鳥は、
環境の変化やストレスで免疫力が下がっていることが多く、
見た目に元気でも、そのうの中に細菌・真菌・トリコモナスなどが潜んでいることがあります。

お迎え検診では:

  • 体重・体格・羽・糞便の状態チェック

  • そのう内容物を採取して顕微鏡検査(細菌・原虫・カビの確認)

  • 必要に応じて糞便検査やレントゲン検査

を行い、健康状態を総合的に評価します。
感染症の早期発見・他の鳥への感染防止に役立ちます。


🔹 定期健診でのそのう検査

鳥は体調の変化を隠す習性があり、
見た目が元気でもそのう内に炎症や異常発酵が進行していることがあります。

特に次のような時期には、定期的なそのう検査をおすすめします。

  • 半年〜1年ごとの健康診断時

  • 換羽期や繁殖期など、体力を使うタイミング

  • 食欲の変化や、吐き戻しがある時

  • 新しい鳥をお迎えして同居させる前

当院では、そのう検査+糞便検査を組み合わせることで、消化管全体の健康状態をチェックしています。


🔹 どんな時に行うべきか

以下のような症状が見られる時は、そのうの異常を疑いましょう。

  • 食後のそのうがなかなか空にならない

  • 吐き戻しや口をくちゃくちゃする仕草がある

  • 口の周りや嘴に汚れが付く

  • 食欲不振・体重減少

  • 元気がなく、羽を膨らませてじっとしている

これらはそのう炎や感染症の初期症状であることが多く、早期検査が大切です。


🔹 そのう検査で見つかることの多い病気

鳥種 見つかりやすい病気・特徴
セキセイインコ トリコモナス感染、真菌(カンジダ)感染、細菌性そのう炎。ヒナや若鳥で多い。
オカメインコ 酵母菌や細菌による慢性そのう炎、吐き戻し癖からの二次感染。ストレス性の胃腸障害も。
フィンチ類(文鳥・カナリアなど) 細菌性そのう炎、トリコモナス感染。体が小さいため進行が早く、早期発見が重要。
ラブバード(コザクラインコ・ボタンインコ) 原虫感染やマイコプラズマ性炎症。繁殖期に多く、吐き戻し・羽の汚れとして現れることが多い。

📍これらの感染症は糞便や吐き戻しを介して他の鳥にうつることもあるため、
同居鳥がいる場合は特に注意が必要です。

カナリヤのそのうから検出されたトリコモナス


🔹 検査の流れ

  1. そのうに少量の餌が入っている状態で来院

  2. 細い綿棒を用いて、そのうの内容物を少量採取

  3. 顕微鏡で細菌・原虫・真菌などを観察

  4. 結果をその場で説明し、必要に応じて治療方針を決定

当院では、鳥にできるだけストレスをかけないように、
短時間で安全に行う方法を採用しています。


🔹 まとめ

検査タイミング 目的 主な対象
お迎え検診 感染症の有無確認、健康状態の把握 すべての新しい個体
定期健診 慢性炎症や再感染の早期発見 成鳥・繁殖期の個体
体調不良時 そのう炎・原虫・真菌などの診断 食欲不振・吐き戻し症例

📍当院では

当院では、セキセイインコ・オカメインコ・フィンチ・ラブバードなど、
小型鳥種のそのう検査と健康診断を多く実施しています。
お迎え直後や季節の変わり目など、
「少し元気がない」「吐き戻しが続く」といった小さな変化でも、お早めにご相談ください。

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士

日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

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