
当院で前十字靭帯断裂に対して実施した TPLO(脛骨高平部水平化術) の症例を、
体重ごとにまとめて掲載しています。
前十字靭帯断裂は、体格や体重によって手術の難易度や使用するインプラントが変わるため、
飼い主さまには「自分の子のサイズに近い症例」を参考にしていただきやすい構成にしています。
各症例では、
診断・手術方法・術後の歩行開始時期・経過 を記載しており、
手術をご検討される際のイメージに役立つ内容となっています。
以下から、愛犬の体重に近い範囲をご覧ください。
■ ~5kgの症例
小型犬でよく見られるサイズ帯です。
骨が細いため、インプラントの選択や角度調整を丁寧に行っています。
術後は比較的歩き出しが早い傾向があります。
前十字靭帯は後肢の膝関節内にある靭帯で、太ももの大腿骨と脛の脛骨を結んでいる靭帯です。前十字靭帯の損傷(部分断裂や完全断裂)は小型犬から大型...
前十字靭帯断裂というと、ジャンプや転倒などによる急な外傷を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、トイプードルのような小型犬やシニア...
トイプードルをはじめとする小型犬では、膝蓋骨脱臼(パテラ)と前十字靭帯断裂が深く関係していることが知られています。
膝蓋骨脱臼は、膝のお皿...
犬の前十字靭帯断裂は、多くの場合**片側の後肢(右または左)**に起こりますが、約30〜40%の犬で将来的に反対側の断裂が生じると報告されて...
■ ~10kgの症例
小型〜中型の間にあたる最も一般的な体重帯です。
手術の安定性が高く、TPLOが非常に適応しやすい層です。
術後の回復も安定しています。
前十字靭帯断裂の手術(TPLO)では、使用するプレートやスクリューのサイズ選択が非常に重要です。一般的には「体重に応じてサイズを選ぶ」とされ...
犬の前十字靭帯断裂(cranial cruciate ligament rupture, CCLR)は、膝関節内で大腿骨と脛骨を安定させる重...
前十字靭帯断裂は、適切な外科治療とリハビリテーションにより、非常に良好な予後が期待できる疾患です。特にTPLO法を行った場合、靭帯の代替では...
■ ~20kgの症例
中型犬のTPLOはこちらに分類されます。
骨の太さや脛骨形状に合わせてプレート選択を行い、
適切な角度調整で良好な歩行回復を得られた症例が多くあります。
前十字靭帯断裂の手術にはいくつかの方法がありますが、**機能回復の点で最も優れているとされるのがTPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)**です...
■ 20kg~の症例
やや大型寄りの犬種の手術です。
体重が増えるほどインプラントの強度や角度の精度が重要になるため、
術前検査と術中操作を注意深く行っています。
適切に実施すれば、良好な回復が期待できます。
前十字靭帯断裂は、年齢に関係なく治療を検討すべき疾患です。特に高齢犬では、「もう年だから…」と様子を見ているうちに関節炎が進行し、慢性的な痛...
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著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士
日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。