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セキセイインコの“産卵トラブル(不完全産卵・卵停滞)”について
(※本文では分かりやすく“卵詰まり”と表現しています)
セキセイインコは、卵が正常に産めない「産卵トラブル(卵停滞・不完全産卵)」が比較的多い鳥です。
とくに お尻の外に卵がぶら下がっているように見えるケース は、飼い主さんにとって衝撃的で、緊急性を正しく判断することがとても重要です。
ここでは、症状・原因・治療について分かりやすく説明します。

1. セキセイインコの卵詰まり(産卵トラブル)とは?
本来、卵はスムーズに卵管から総排泄腔へ運ばれ、すぐに排出されます。しかし、
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卵が卵管内で停滞してしまう(典型的な卵詰まり)
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卵は外まで出たが、完全には排出されず“ぶら下がってしまう”(不完全産卵)
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卵の通過に伴って卵管の一部が反転してしまう(卵管脱出)
など、正常に産めない状態の総称が「産卵トラブル」です。
いずれのタイプも共通して、
👉「卵がスムーズに排出されない」
という異常が起きています。
2. どんな症状が出る?
🟥 外から見て分かるサイン
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お尻の外に 卵が見える/ぶら下がる
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総排泄腔が腫れて赤い
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排泄物が付着しやすい

🟧 行動の変化
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ずっと腹部を気にする
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ふらつく、踏ん張る仕草
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元気消失
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呼吸が早い
🟩 触って分かる場合
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腹部に固い卵の感触
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圧痛がある
🟦 重症サイン(緊急性が高い)
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羽を膨らませて動かない
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呼吸が苦しそう
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下半身が冷えている
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卵が破れそう、血がにじむ
▶ 外から卵が見える症例は、軽症に見えても卵管脱出を伴うことがあり、放置すると致命的になることがあります。

3. 緊急性は高い?
結論:
🎯 “卵詰まり”はすべて緊急性が高い状態であり、早期治療が必要です。
特に
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お尻に卵がぶら下がっている
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何度も踏ん張る
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呼吸が荒い
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ぐったりしている
といった場合、数時間単位で悪化する可能性があります。
卵管の壊死、卵の破損、感染、ショック が進むと命に関わるため、見つけたらすぐ受診する必要があります。
4. 原因は?(よくある要因)
✔ 栄養バランスの乱れ
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カルシウム不足(最も多い)
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ビタミンD不足
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体脂肪過多
✔ 卵殻異常
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殻が柔らかい
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変形卵で出口に引っかかる
✔ 卵管の機能不全
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筋力低下
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卵管炎症
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過産卵
✔ その他
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初産でうまく産めない
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高齢
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環境ストレス
👉 卵が外に見えるケースでも、背景にはカルシウム不足・炎症・卵管疲弊があることが多いです。
5. 治療は?(詳細は伏せて簡潔に)
治療は 卵の状態・卵管の腫れ・全身状態 によって大きく変わります。
そのため、診察での評価が必須です。
当院では、以下のような手段の中から、
その子の状態に合わせて慎重に組み合わせて治療 します。
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卵の排出を助ける処置
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卵管の炎症や腫れを抑える治療
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体力回復のためのケア
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卵が外にある場合は、損傷がないか慎重に処置
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必要に応じて、卵管の反転を戻す処置
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二次感染を防ぐ治療
卵の取り扱いは非常にデリケートで、
無理に引っ張る/押し出すなどは、重大な損傷を招きます。


6. まとめ
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卵詰まり(卵停滞・不完全産卵・卵管脱出)はいずれも緊急性の高い状態です。
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お尻に卵が見える症例は軽く見えがちですが、実際には卵管の腫れや反転を伴うことがあり、放置は危険です。
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カルシウム不足や卵殻異常は原因として非常に多く、再発を防ぐためには栄養管理が大切です。
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治療は「その子に合わせたオーダーメイド」であり、状態によって大きく異なります。
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写真のような症状を見つけたら、時間をあけずに受診することが最も安全です。
著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士
日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。
当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。
