1. 生理的な理由で元気がないこともあります
小鳥が「元気がない」と感じられるとき、必ずしも病気とは限りません。
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換羽(羽が抜け替わる時期)
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暑さ・寒さなど環境の変化
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一時的な疲れや緊張
こうした場合は、少し休めば回復することもあります。ただし、元気がない状態が続く場合は要注意です。
2. 元気や食欲が落ちるときに考えられる病気
小鳥は体が小さいため、病気の進行が早く、「気づいたときには重症」ということも少なくありません。代表的な疾患をいくつか紹介します。
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そのう炎
細菌や真菌(カビ)の感染で、吐き戻しや食欲不振が見られます。口からにおいがすることも。 -
腸炎や寄生虫感染
下痢や未消化便とともに元気がなくなります。糞便検査で分かることが多いです。 -
呼吸器疾患(細菌性、真菌性、マイコプラズマなど)
呼吸が荒い、尾羽が上下する(尾羽振り呼吸)、鳴き声が変わるといった症状が出ます。 -
卵づまり(産卵障害)
特にメスの文鳥やセキセイで多く、腹部膨満や食欲不振、止まり木にじっとしている様子が見られます。放置すると命に関わります。
3. 動物病院で行う主な検査
小鳥が元気をなくしているとき、病院では次のような検査を行うことがあります。
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体重測定・身体検査:わずかな体重減少が病気のサインになることも。
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口腔内検査・そのう検査:口やそのうの中を確認し、直接塗抹で細菌や真菌を調べます。
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糞便検査:寄生虫や腸内細菌の異常をチェックします。
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レントゲン検査:卵づまりや臓器の腫れ、骨の異常を調べます。
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超音波検査:心臓や肝臓、腹部臓器の状態を確認します。
まとめ
小鳥が「元気がない」「食欲がない」ときは、一見ありふれた症状に見えても命に関わる病気のサインかもしれません。短時間で重症化することもあるため、気になるときは早めに動物病院での受診をおすすめします。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士
日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。