ハムスターについて
小さくて可愛い姿が魅力のハムスター。お家で一緒に暮らす中で、「あれ?毛が抜けている?」と気づくことがあるかもしれません。実はハムスターは体が小さい分、皮膚や毛の変化が分かりやすく、ちょっとした環境の変化でも毛が抜けてしまうことがあります。大切なのは、原因を落ち着いて見極めてあげることです。
皮膚病の発生しやすい時期
春や秋など季節の変わり目は、体調を崩しやすく皮膚トラブルも起こりやすい時期です。夏は湿気で細菌やカビが増えやすく、冬は乾燥によってかゆみが出ることもあります。人間と同じように、環境の変化が体に影響を与えるのです。
生理的に毛が抜けることはある?
もちろん「自然な毛の生え変わり(換毛)」もあります。この場合は、かゆがったり皮膚が赤くなったりせず、しばらくすると新しい毛が生えてきます。つまり、毛が抜けた=必ず病気というわけではありませんので、まずは落ち着いて観察してみましょう。
どんな病気が考えられる?
一方で、病気が隠れていることもあります。例えば――
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外部寄生虫(ダニ・ノミなど):強いかゆみで毛が抜けたり、皮膚に傷がついたりします。
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真菌(カビ)感染:円形に毛が抜けるのが特徴で、人にうつることもあります。
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細菌感染:赤みやかさぶた、膿が出ることがあります。
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ホルモンの異常:高齢のハムスターで左右対称に毛が薄くなることがあります。
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腫瘍や皮膚炎:しこりやただれを伴う場合もあります。
どの病気も、早めに対応すれば改善できることが多いので、過度に心配する必要はありません。
診断するための検査は?
動物病院では、小さな体に負担をかけないよう配慮しながら検査を行います。
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顕微鏡で皮膚や毛を調べる(ダニやカビの確認)
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培養検査で細菌や真菌の種類を特定
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必要に応じて血液検査や画像検査
大がかりな検査をする前に、まずは簡単にできるチェックから始めますので安心してください。
まとめ
ハムスターの毛が抜けているのを見つけると心配になりますが、自然な換毛のこともあります。大切なのは、かゆみや赤み、しこりなどがないかを見てあげることです。少しでも気になるサインがあれば、早めに動物病院に相談しましょう。飼い主さんの気づきが、ハムスターの健康を守る大切なきっかけになります。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士
日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。