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犬と猫に多い歯周病
犬と猫においては、人と異なり、歯に発生する虫歯（齲歯うし）の発生は稀です。その代わりに、歯肉や歯を支えている靭帯、歯を支えているあごの骨に炎症を起こす歯肉炎の発生がとても多いことが知られています。
歯周病の予防は？
歯周病の予防は、歯を磨いて歯垢をつきにくくすることです。
主な病気の進行として、歯垢がついた状態で放置することによって、歯垢が歯石へと変化します。歯石によっておおわれた部分には空気が通らなくなり、嫌気性細菌が増殖し歯肉を炎症させる物質を作り出します。
後肢て歯周病は進行していくため、歯磨きやお手入れで除去できる歯垢のうちに、きちんと歯をきれいにすることが重要です。
口臭がきつくなる要因は？
口臭が悪化したと感じる場合、口腔内で出血や排膿、炎症が起こっている可能性が考えられます。その時の口腔内の細菌バランスによって人が悪臭と感じる物質の中でどの物質が産生されるかが異なります。
歯をきれいにする方法は？
日々のケアとしては、歯ブラシや歯磨きシート、ジェルや歯磨きガム、おもちゃやタオルをかませたりすることもよいでしょう。また、歯垢が付きにくく、落ちやすくなるサプリメントや、歯周の炎症を軽減させるサプリメントなども有効性が報告されています。
理想的には歯周ポケットをきちんと掃除できる方法として、歯ブラシが推奨されますが、どの方法であっても行わないよりは行った方が良いので、できる範囲で頑張ってケアをしてあげましょう。
今更、歯磨きを始めても手遅れ？
そんなことはありません。歯石が形成されて歯周病が発生してしまったからといって、歯磨きをしても意味はないということはありません。
確かに、汚れてしまった歯を見ると、「これはもう無理だな」と感じてしまうのもわかりますが、今よりもさらに進行した状態になる場合があります。今からであっても、その進行速度をゆっくりにすることは意味がありますので、「今更な・・・」と思わず、思い立った日から口腔ケアを始めてみましょう。
歯周病の治療費用は？
治療を行う場合には、通常全身麻酔で歯石の除去及び歯周ポケットの清掃を行います。歯周病の正確な診断には歯科レントゲンの撮影が必要となるため、かかる費用として
麻酔前検査、麻酔費用、歯科レントゲン、歯科処置
などが考えられます。施設によっては、歯科レントゲンではなくCTを撮影して判断するという病院もあるようです。
無麻酔で歯石除去はできる？
無麻酔で歯石除去ができると謳っている動物病院やサロンも存在しますが、無麻酔下で実施する歯石除去は獣医歯科学会や米国獣医歯科学会に推奨されない行為とされています。当院においても推奨していません。
「資格を持っています」と掲載されているサロンも見たことはありますが、これだけの組織が推奨していない行為に対して誰が資格を配布しているのだろうと考えています。
そのため、こういった行為（無麻酔での歯石除去・スケーリング）に起因してよくない事故や健康障害が起こった場合には、行う側も、受ける側も全身麻酔とは異なるリスクが生じます。
「いかなる状況においても絶対に行わない禁忌の行為」とまではなっていませんが、「通例としては推奨されていないことを行う」リスクを負ってまで無麻酔で歯石除去を実施するケースはかなり稀です。
行うことを考える状況として、
「どうしても麻酔がかけられない疾患になっているが、歯周病の進行によって著しい健康被害が出ているため、放置するリスクと無麻酔でこうっくう処置を実施するリスクを比べたときに、放置する方がリスクが大きいと判断されるような状況」です。
そんな状況あるの？と思われるかもしれませんが、時々発生します。
まとめ
犬や猫だと、口が汚いという認識がマヒしてしまうところもあるかもしれませんが、仮に同じ量の歯石が家族の人間についているか？と考えると、おそらく人と比較するとペットの方が歯石はかなり多いと思います。
歯周病になっているワンちゃんや猫ちゃんの割合はとても多いと考えられています。ぺらっと唇をめくって、歯石が付着しているようであれば一度動物病院で相談してみるとよいでしょう。
著者プロフィール
白井顕治（しらい けんじ）院長
獣医師、医学博士、日本動物病院協会（JAHA）内科認定医・総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。
当院は国際ねこ医学会（isfm）よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。
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