異物誤嚥とは
食べ物以外の、好ましくないものを食べてしまった状況を異物誤嚥と呼びます。
この記事内では、接種後にその成分によって体調不良が起こされる食中毒・中毒ではなく、物理的に刺さってしまったり詰まったりする異物について解説します。
どんなものを飲み込んでしまうことが多い?
口に入るものであれば、様々なものを飲み込む可能性があります。
食べ物のにおいがする異物としては、焼き鳥のクシ、焼き豚を作った際のネット、シンクの排水口用のネット、おにぎりを包んでいたあるにホイル、サランラップやお菓子の個包装のビニール、つまようじやチュールやウェットフードの容器などが挙げられます。
人のにおいのするものとして、靴下や靴の中敷き、靴紐、マスク、ピアスやヘアゴム、ストッキングが挙げられます。
生活している環境にあるものとして、家具やおもちゃの一部、ティッシュや床板、糸や針、釣り針や大量の落ち葉などが挙げられます。
最後に、自分の体が由来のものとして毛玉が挙げられます。
【アイスの棒の誤嚥】
【ヘアゴムの誤嚥】
【つまようじの誤嚥】
どんな症状が出る?
釣り針や縫い針のように鋭利な先端を持っている異物でなければ、消化管に刺さってしまうことは稀です。
主に閉塞することにおよって症状を呈します。閉塞の程度や、飲み込んだ異物の種類、形状によって不完全閉塞や完全閉塞に別れ、完全閉塞のほうが症状が重篤で、頻回の嘔吐が主な症状として出ますが、場合によっては下痢が出ることもあります。
不完全閉塞の場合には閉塞の度合いによってはゆっくりとした体重減少しか症状を出さなかったり、たまに吐くといった症状だけの可能性もあります。
犬や猫が異物誤嚥してしまった時の対処法は?
飲み込んでしまった物、飲み込んでから経過している時間、本人の症状を合わせて判断していきます。
吐かせる場合には催吐剤を使用して吐かせます。それ以外の方法としては内視鏡によって取り出したり、開腹して摘出することもあります。
繰り返しになりますが、本人の症状、飲み込んでからの時間、飲み込んだものの大きさや形状などを 総合して対応を変えていきます。
異物誤嚥時の治療費用は?
異物誤嚥時には、経過観察をして様子を見る場合があります。
検査を行う場合には、レントゲン検査やエコー検査、施設によってはバリウム造影やCT撮影を実施する可能性があります。
治療について、経過観察で様子を見る場合や、催吐剤を使用して吐かせる場合、全身麻酔下で内視鏡によって摘出する場合や開腹手術をして摘出する場合もあります。
前述のとおり、異物の形状や飲み込んでからの時間、本人の症状によってえらばれる対応が変わってきます。治療費用については催吐剤によって吐かせるものが最も安価で、開腹での摘出が最も高額となることがほとんどであると考えられます。
まとめ
異物誤嚥を起こしてしまう性格の子がいる場合には、極力部屋の中にものを放置しておかないように気を付ける必要があります。それと同時に、下痢や嘔吐などの消化器症状が出た場合には、動物病院を受診した際に、そういった癖があることをご家族側から先行して伝えておくとよいでしょう。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)内科認定医・総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。
当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。