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鼻血とは
顔面の鼻の穴(外鼻孔)から、出血する状態で、鼻血(はなぢ)と呼ぶこともあれば、鼻出血(びしゅっけつ)と呼ぶことのあります。
血液がタラっと垂れるときもあれば、くしゃみをして飛散した鼻水がピンク色であるというような場合もあります。
猫の鼻血は珍しい?
通常、人間であれば鼻血はそこまで珍しい症状ではありませんが、猫では正常では鼻血は発生しません。
鼻血が出た段階で精密検査の対象となります。
もちろん、即刻検査を行う必要があるとまでは言いませんが、なんとなく抗生剤や消炎剤で様子を見るということはお勧めできません。
どんな病気の時に鼻血が認められる?
猫の鼻腔内の疾患として発生率の高いものとしては、腫瘍性疾患、炎症性疾患、感染性疾患が考えられます。
猫の鼻に発生しやすい腫瘍
リンパ腫が最も多く、次いで鼻腺癌と診断されることがあります。
猫の鼻に発生しやすい炎症性疾患
慢性鼻炎や、歯牙疾患に関連した炎症の波及が原因のことが多く認められます。
猫の鼻に発生しやすい感染性疾患
腫瘍や炎症性疾患と比較すると発生率は低いです。
報告では、クリプトコッカスやアスペルギルスなどの真菌感染が猫の鼻炎の原因となりえます。
検査はいつ行うべき?
腫瘍性疾患が鑑別疾患の中に入ってくるので、試験的に長期間薬を使用するのではなく、1-2週間治療しても改善しなかったり、再発を認めるようであれば精査を行うことをお勧めします。
進行すると鼻出血だけでなく顔面変形が始まってしまうこともあるため、進行する前に診断してあげましょう。
どのような検査が考えられる?
猫が鼻出血を起こしている場合には、麻酔下でCT撮影を実施したり、鼻腔内の細胞診を実施して、培養や病理検査を行います。
病状が鼻腔内占拠性病変であり、CT検査を何らかの理由によって行えない場合には、盲目下で鼻腔内生検を実施することもあります。それと比較して、限局性病変の場合には病変の位置の把握が難しいため注意が必要です。
猫が鼻血を出した場合の検査費用は?
上記のような検査を覚醒下もしくは麻酔下で実施する可能性が考えられます。
かかりつけの動物病院を受診して、検査内容と見積もりをもらうとよいでしょう。
まとめ
猫は人と異なり正常では鼻血を出しません。ネコちゃんが鼻血を出したら、速やかにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
著者プロフィール
獣医師 吉川未紗
日本獣医生命科学大学付属動物医療センター 呼吸器科・腫瘍内科 研修生
当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。