佐倉しらい動物病院ブログ

【獣医師監修】猫のしっぽひっぱり症の症状や治療について解説

しっぽ引っ張り症とは?

英語では「Tail Pull Injuries」と呼ばれ、しっぽを牽引した結果、尾の根本の神経が障害を受けて起こる症状のことを指します。

引っ張られたときだけ?

人間などのほかの生き物に引っ張られた結果になるほか、引っ掛かった状態でダッシュするなど、猫ちゃん本人のせいで発生してしまう可能性もあり得ます。

車のタイヤに尾の先端だけ轢かれ、猫ちゃんが逃げようとダッシュした場合にも発生します。

診断は?

引っ張った事実があれば、それも一つの診断基準となります。ほかには、尾の麻痺や排便や排尿困難、場合によっては後肢の不全麻痺が発生することがあります。

レントゲンでわかる?

尾椎が完全に脱臼・骨折してしまっているような場合にはレントゲン写真で判断することができますが、骨格に異常をきたしていなくても、神経に障害が出ることがあるため、レントゲンを撮影すればすべてわかる疾患ではありません。

排尿障害と、尾の骨折を認めた症例

麻痺は治る?

基本的に神経が完全に障害された場合は麻痺は治りません。手術の適応でもないため、排便困難・排尿困難に対する対症療法が主な治療点となります。

神経が伸びただけ等、神経の障害が可逆性である場合には時間をかけて改善することもあり得ます。

対処は?

猫ちゃんの尾を牽引しないことが一番重要となります。普段から、このような障害を起こしてしまう可能性があることを理解して、猫ちゃんと一緒に生活してあげましょう。

著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長

獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)内科認定医・総合臨床認定医

千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。

当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。

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