猫の体表
品種にもよりますが、多くの猫は肉球や鼻以外のほどんどの体表に被毛が存在するのが標準的な外見です。
腹部やかかとに脱毛が認められた場合には、皮膚疾患が隠れている可能性が示唆されます。
毛が薄くなりやすい部位
毛が薄くなりやすい部位として、頭側から記載していくと、おでこ、ひじの内側、下腹部、かかとなどが挙げられます。
そのほか、お腹のわきや肩甲部に認められることもあります。
どうして毛が薄くなった?
毛が薄くなった場合には、発毛がなくなった場合と、発毛はしているが、何らかの理由によって毛が折れたり、抜けてしまっているかに分けることができます。
診断を行うためには、薄くなった被毛を顕微鏡で観察することによって、大方判断することができます。
考えられる病気は?
毛が薄くなった場合に考えられる主な疾患としてアトピー症候群や皮膚糸状菌症、心因性脱毛などが挙げられます。
アトピー症候群とは
猫のアトピーや好酸球性皮膚炎などの総称として診断される疾患名です。かゆみによって患部を過度になめることによって患部の毛が薄くなります。また、病状の程度によっては、丘疹や曲面などの皮膚症状が見られることもあります。
皮膚糸状菌症とは
主に猫の被毛に感染する真菌(カビ)で、ミクロスポラム・カニスなどの感染によって引き起こされます。かゆみの自覚症状や皮膚症状はあることもあればないこともあります。
心因性脱毛とは
心因性脱毛は、何らかのストレスに起因して過度にグルーミングを行うことによって被毛の一部が薄くなってしまう状態を指します。
まとめ
猫の被毛の一部が薄くなってしまう代表的な疾患の紹介をしました。腹部だけが薄い場合などは、太っていてお腹が床にすれているだけかもしれないと誤解されてしまうこともあります。
猫の皮膚疾患でお困りの方はお気軽にご相談ください。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士、日本動物病院協会(JAHA)内科認定医・総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。
当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。