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ジャンガリアンハムスターについて
ジャンガリアンハムスターは体重 30〜45g程度 の小型ハムスターで、人懐っこくペットとして人気があります。寿命は約2〜3年と短めですが、その間に皮膚や被毛のトラブルを経験する個体は少なくありません。
飼育環境(温度・湿度・床材)や食事内容、ストレスが皮膚の健康に直結するため、日常的な観察がとても大切です。
よく見られる皮膚疾患
1. ダニ症(疥癬・毛包虫など)
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かゆみ、脱毛、皮膚の赤み・かさぶた。
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ケージ内の不衛生や免疫力低下で悪化しやすい。
2. 真菌症(皮膚糸状菌症)
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円形脱毛やフケ、かゆみを伴うこともある。
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人にうつる可能性(人獣共通感染症)があるため注意が必要。
3. アレルギー性皮膚炎
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床材や洗剤、食べ物などが原因になることがある。
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かゆみや赤み、体をこする行動。
- 昔は多いとされていた原因ですが、現在では比較的まれであるといわれています。
4. 腫瘍(皮膚腫瘍)
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高齢ハムスターで特に多い。
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イボのような盛り上がり、しこりとして気づかれる。
5. 細菌性皮膚炎
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細菌感染による皮膚炎
- 痒みを呈することが多い。
6. 外傷・自己咬傷
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ケージや回し車での擦過傷、同居個体からの咬傷。
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ストレスやかゆみによる自傷行動もある。
診断のために行う検査
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身体検査・皮膚観察:被毛の状態、痂皮、発赤、腫瘤の有無。
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皮膚掻爬検査:ダニや真菌の確認。
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培養検査:真菌症の確定診断に。
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細胞診:腫瘤がある場合の腫瘍鑑別。
飼い主が注意すべきポイント
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毛並みが乱れていないか、かさぶたや赤みがないかを日常的にチェック。
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強いかゆみでケージに体をこすりつけたり、かじって傷にしてしまう場合は要注意。
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異常を見つけたら早めに動物病院で診察を受けることが大切です。
まとめ
ジャンガリアンハムスターは小さな体でありながら、皮膚疾患を起こすことが少なくありません。
ダニや真菌といった感染症から、アレルギー、腫瘍まで原因はさまざまです。
皮膚の異常は飼い主さんが最も早く気づけるサインのひとつですので、日頃から観察を続け、気になる変化があれば早めに受診しましょう。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士
日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。