ハムスターの目について
ハムスターの大きな黒い目は、とても愛らしい特徴のひとつです。しかし、体のサイズに比べて目が大きく、顔の周囲の毛づくろいや巣材との摩擦でトラブルが起きやすい部位でもあります。ちょっとした異変が大きな病気のサインになっていることもあるため、早めの気づきが大切です。
目の病気が起こりやすい時期やきっかけ
乾燥する冬は涙が減って角膜が傷つきやすく、夏は細菌や真菌が繁殖しやすい環境になるため、目の病気が発生しやすくなります。また、敷材のチップやトイレ砂が目に入る、ケージの中でけがをする、老齢による免疫力の低下なども原因となります。
よく見られる目の病気
ハムスターに多い目の病気には、次のようなものがあります。
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結膜炎
目やにや涙が増え、まぶたが赤く腫れる病気。細菌や異物が原因になります。 -
角膜潰瘍(かくまくかいよう)
目の表面に傷がつき、白く濁って見えることがあります。放置すると視力に影響します。 -
白内障
高齢のハムスターで目が白く濁る病気。ゆっくり進行し、完全に視力を失うこともあります。 -
緑内障
眼圧が上がり、目が飛び出したように見えることがあります。痛みを伴うこともあります。 -
外傷や異物
敷材やケージの金網で目を傷つけるケースも珍しくありません。
飼い主さんが気づきやすいサイン
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目が赤い・腫れている
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涙や目やにが増えている
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目をしょぼしょぼさせている
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片目だけ開けにくそうにしている
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目が白く濁っている、飛び出して見える
こうしたサインがある場合は、病気の可能性が高いため注意が必要です。
動物病院での検査と治療
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顕微鏡で目やにや角膜の状態を確認
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染色液を使って角膜の傷をチェック
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細菌や真菌の培養検査
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必要に応じて全身状態の確認(血液検査など)
治療は、点眼薬(抗生物質や消炎剤)を使うことが多く、異物があれば除去します。進行している場合や腫瘍が疑われる場合は、さらに詳しい検査や治療が必要になることもあります。
まとめ
ハムスターの目は繊細で、結膜炎や角膜の傷などの病気が起こりやすい部位です。目が赤い、涙が出ている、濁っているなどの変化に気づいたら、早めに動物病院で診てもらいましょう。小さな体のハムスターにとって、飼い主さんの「ちょっとおかしいな」という気づきが健康を守る大切なサインになります。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士
日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。