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🐾 「手術できる」と「任せて安心」は、別のことだと思います
猫のおしっこが何度も詰まる。
カテーテルで通しても、また詰まってしまう。
──そんなときに提案されることがあるのが、「会陰尿道造瘻術(えいんにょうどうぞうろうじゅつ)」という手術です。
ただ、この手術は
「誰にでもできる」わけではない
というのが正直なところです。
理由は単純で、解剖学的に複雑な領域を扱う手術だからです。
この部分は神経や血管が入り組み、手術操作の一つひとつが、その後の生活に影響することがあります。
術後のトラブルを恐れて、積極的に勧めない獣医師が多いのも事実です。
しかし、そういった理由によって先延ばしをしてしまうと、繰り返す腎不全によって腎機能の低下を起こしたり、繰り返した尿カテーテル挿入によって
骨盤尿道の損傷などを起こしてしまう危険性があります。そのため、尿道閉塞を繰り返してしまうような猫ちゃんにおいては、手術をするリスクよりも、手術を行わないで管理しようとし続ける方がリスクが高い場合があります。
🏥 では、なぜ当院では「積極的に対応している」のか
その理由は、私自身のこれまでの経歴と考え方にあります。
日本動物病院協会(JAHA)の獣医内科認定医・外科認定医を良保有しております。
それにより、
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手術が必要かどうかを正しく判断できる内科力
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術前・術後の全身管理ができる内科力
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術中に何が起きても冷静に対処できる解剖学力
そうした力があってこそ、**「本当に必要な猫に、正確で安全な手術ができる」**と私は考えています。
✂ 当院の「改良型会陰尿道造瘻術」の特徴
今現在のカリキュラムはわかりませんが、私が大学の獣医学科在学していた当時は外科の内容にこの手術による実習は含まれていませんでした。
私は大学では学ばなかったこの手術を、
卒業後すぐに「会陰尿道造瘻術が得意な指導医」から学びました。
その先生は、教科書とは違う独自の改良術式を用い、
「この子の体に合うやり方を考える」ことを重視する方でした。
私もそのスタイルを受け継ぎ、
教科書通りの手術ではなく、一頭一頭に合わせて手術を行っています。
そのため、
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他院で「手術は難しい」と言われた症例
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何度も再発している難治例
にも対応しています。
左から、手術直後、10日後、3年後の術後の尿道の外観です
🛠 当院での手術体制
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執刀獣医師は私自身が担当
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年間8件以上、これまで50件を超える手術経験
(一次診療施設では多い実績です) -
術前検査〜術後管理まで一貫してフォローを行っていきます
💬 飼い主さまへ
私は「会陰尿道造瘻術」を
“最後の手段”とは思っていません。
むしろ、何度もつらい思いをしている猫とご家族にとって、
**「安心して毎日を送るための“前向きな選択肢”**だと思っています。
術後に、「あの手術をしてよかった」と言ってもらえるように。
そして、猫たちが排尿に怯える日々から解放されるように。
これからも、この手術に真剣に向き合い続けます。
まずは、今の状態が手術を考えるタイミングなのか。
それを一緒に考えるところから始めましょう。
どうぞお気軽にご相談ください。
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✅ まとめ
「外科専門医でなくてもいい。でも、“この人なら安心できる”と思えるかどうかが大事。」
そう思っていただけるよう、
私は目の前の一頭一頭に、真剣に向き合っています。