
目次
🔹 爪は切るべきなの?
野生の鳥は、木の枝や地面を歩くうちに爪が自然に削れていきます。
しかし、室内飼育の小鳥(インコや文鳥など)は、
止まり木や床の材質によっては爪が削れにくく、どんどん伸びてしまうことがあります。
爪が長くなりすぎると──
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引っかかってケガをする
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止まり木をしっかりつかめず、転倒する
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飼い主さんの手や服を傷つける
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爪の血管(クイック)を傷つけて出血する
といったトラブルが起きるため、定期的なケアが必要です。

出血班の認められるセキセイインコの爪
🔹 爪を伸びるのを予防するには?
完全に伸びを防ぐことはできませんが、
環境や習慣で「自然にすり減る」ように工夫することができます。
✅ 環境で予防する方法
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削れやすい止まり木を使う
(天然木の凹凸があるタイプをお勧めしています) -
床を滑りにくい素材にする
→ 爪先に力が入ることで自然に摩耗しやすくなります。 -
活発に動ける広さのケージ環境にする
→ 運動不足は爪の成長を早める傾向があります。
✅ 栄養面のサポート
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爪の伸びは栄養状態とも関係があります。
→ バランスの良い食事(シード+ペレット+青菜)を心がけることで、
爪の健康も保たれます。

爪が過長している保護鳥
🔹 爪を切る頻度の目安
個体差がありますが、
一般的な目安としては1〜2か月に1回程度が推奨されます。
🕐 頻度の目安
| 種類 | 爪の伸びやすさ | 爪切り頻度の目安 |
|---|---|---|
| セキセイインコ | 普通 | 1.5〜2か月に1回 |
| オカメインコ | やや伸びやすい | 1か月に1回 |
| 文鳥 | やや伸びやすい | 1〜1.5か月に1回 |
| カナリア・フィンチ類 | 緩やか | 2〜3か月に1回 |
📍ただし、高齢や病気の小鳥は代謝が落ちて爪が硬く伸びやすくなるため、
もう少し短いサイクルでの確認が望ましいです。

オカメインコの爪
🔹 自宅で切るときの注意点
爪の中には「血管(クイック)」が通っているため、
切りすぎると出血してしまいます。
血が出た場合、出血点を圧迫したり止血剤を使用する必要があります。
⚠️ 注意ポイント
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鳥を強く握ると胸を圧迫して呼吸困難になるため要注意
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光に透かして血管の位置を確認
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暴れる鳥はタオルで優しく包んで固定
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出血時に備えて止血剤を準備(ない場合はデンプン粉でも代用可)
💡もし不安がある場合は、動物病院での爪切りをおすすめします。
当院では小鳥専用の器具と保定方法で、安全に短時間で処置を行います。
🔹 爪切りのタイミングの目安
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止まり木にしっかり止まれず、爪が外に反っている
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飼い主の手や肩に乗ったとき、爪が痛いと感じる
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カーペットや布に引っかかる
こうしたサインが見られたら、爪切りのタイミングです。
🔹 まとめ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 爪切りの必要性 | 室内飼育では伸びすぎによるトラブル防止に必要 |
| 予防法 | やすり止まり木・運動・栄養管理 |
| 頻度 | 約1〜2か月に1回が目安 |
| 注意点 | 血管を切らない、呼吸を妨げない |
| 病院での利点 | 短時間で安全に実施できる |
📍当院では
当院では、セキセイインコ・オカメインコ・文鳥などの小鳥の爪切りやクチバシのケアも行っています。
状態や性格に応じて、無理のない方法で実施し、
処置後には爪の状態・血管位置の確認もご説明しています。
「最近、爪が伸びてきた」「止まり木で引っかかるようになった」など、
気になるサインがあればお気軽にご相談ください。
著者プロフィール

白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士
日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。