肛門周囲腺は肛門周囲のほかに尾や腰仙背部、包皮、腹部正中や類似した腺組織が頭頸部にも存在します。イヌ科の動物に認められ、ねこには存在しません。肛門周囲腺腫は肛門周囲腺由来の良性腫瘍で、8歳以上の未去勢オスに頻発する腫瘍です。メスにも発生することがありますが、発生頻度は雄犬の三分の一程度です。去勢手術を行わないと、別の場所で再発する可能性がある事が知られているため、同時に行う必要があります。
実績詳細
ミニチュアダックスフントの肛門周囲腺腫
検査結果
身体検査所見の結果、肛門周囲に複数の限界明瞭な腫瘤が確認された。
所属リンパ節に腫脹は認められず、去勢手術を行っていない高齢犬であることから、肛門周囲腺腫である疑いが持たれた。
切除生検と手術を兼ねた治療を行った。
治療方法
全身麻酔下で腫瘤の摘出および縫合を行った。
また、肛門周囲腺腫が疑われたことから、同時に去勢手術を行った。
毛刈り前
毛刈り後
切除された複数の腫瘤
縫合後
治療・術後経過
術創は感染も起きずに良好に癒合し、手術後10日で抜糸した。
また、摘出した組織材で病理検査を行った。
ーーー以下病理検査結果ーーー
肛門周囲、尾根部から摘出された腫瘤は、肛門周囲腺由来の良性腫瘍と判断されます。肛門周囲腺腫は高齢の去勢を行っていない雄イヌにしばしば認められる腫瘍です。尾根部では、複数の組織片に分かれており、正確なマージンの評価は困難ですが、いずれも明らかな浸潤性は認められません。今回、去勢も同時に行われていることから、今回の摘出により予後は良好である可能性が高いと考えられます。
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病理検査より、追加の化学療法などは行わずに治療終了とした。
経過良好
担当医:白井 顕治
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