原発性高アルドステロン血症は、猫でしばしば認められる疾患で、今回の症例のように、頭を上げることができず、やや不活発になったり、うまく歩けなくなったりするような症状が特徴の疾患です。これらの症状はアルドステロンが出過ぎてしまった結果、血中のカリウムの値が低くなってしまうと起こります。特に猫では頭を支える靭帯が欠如しているため、筋肉に力が入らないと頭がさがる姿勢になります。高アルドステロン血症の診断は血液検査で行い、その後の詳細な検査を腹部超音波検査を行うとよいでしょう。治療にはその原因や反応性に合わせて、経口カリウム薬、カリウム保持性利尿薬、抗アルドステロン剤、原因によっては外科手術などがあります。
実績詳細
雑種猫における原発性高アルドステロン血症
検査結果
症例はやや肥満体型で、以前にも歩行障害が認められることがあったが、その際には近医で体重による関節炎ではないかと診断されていた。
受診時の様子では、元気は無く、首を下げ、歩くことはできたが後肢が震えていた。
外貌上、猫では血中のカリウム値が低くなるとこのような状態に陥るため、血液検査を実施した。
その結果、血中カリウム値の低下が認められ、高アルドステロン血症と仮診断した。
治療方法
初期治療として、経口のカリウム製剤を処方して経過を観察した。
治療・術後経過
経口カリウム薬の投与後5日目程度から状態が改善し、7日後にはほぼ普通の状態にまで回復した。
歩行も震えることなく行うことができ、高いところにもジャンプしているということでした、
高アルドステロン血症は副腎からのアルドステロン分泌が過度に起こってしまうことが原因です。
その場合、副腎が腫瘍化している場合もあれば、正常ではあるがやや大きくなっている非腫瘍性の場合もあるため、ご家族には腹部超音波検査の実施を提案させていただきました。
(タイトルでは仮診断として原発性と付けてあります。)
また、正確な診断は血中カリウム濃度で行うのではなく、上記のエコー検査に加えレニンーアンギオテンシンーアルドステロンの軸を検査するため、血液を材料とした外注検査を行うことによって褐色細胞腫などほかの疾患との鑑別をする必要があります。
現在経過観察中
担当医:白井 顕治
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