子宮水腫や子宮内膜症、化膿性炎症、子宮蓄膿症など、子宮に異常が認められる場合には、卵巣に何らかの異常が認められることが多くあります。子宮と乳腺はともに女性ホルモンの管轄下にある臓器であるため、それら臓器に腫脹や腫瘤、もしくはそれ以外の異常が認められる場合には必ず卵巣の確認を行いましょう。本症例のように卵巣が腫瘍化している場合や、卵巣周期が異常になってしまっている場合が多いです。
実績詳細
トイプードルの化膿性子宮内膜炎と卵巣の顆粒膜細胞腫の併発症例
検査結果
避妊手術をしていないということと、年齢及び問診より、子宮蓄膿症を疑った。
レントゲン検査及び腹部超音波検査を実施したところ、蓄膿した子宮とともに、腫大した左側の卵巣が確認された。
内科療法を実施しても、基礎疾患として卵巣の異常がある事が示唆されたため、外科的に摘出することとした。
治療方法
状態を安定させるために前日より抗生剤の点滴投与を行い手術に臨んだ。
膿汁で汚れている陰部
腫大した左山荘を確認。腫瘍の疑いがあるため、破裂させないように慎重に摘出する。
子宮交換膜および卵巣靭帯を切除し、子宮角を露出したところ。
及び、切除後の卵巣と子宮。左右を比較すると左側の卵巣が腫大していることがわかる。
閉創後
ーー以下病理所見ーー
左卵巣では、大型の腫瘍性病変が形成されており、顆粒膜細胞腫と診断されます。顆粒膜細胞腫は、卵胞を構成する顆粒膜細胞に由来する腫瘍です。被膜外への浸潤は認められませんが、大型の腫瘍であったことから、念のため、腹水の状態について経過観察をお勧めします。
右卵巣には著変は認められません。
子宮では、慢性的な化膿性炎症が認められます。子宮内膜の過形成に二次的な細菌感染が起こったために蓄膿に至った病変と考えられます。また、炎症は筋層内にも波及しています。
治療・術後経過
術後、速やかに一般状態は改善し、術後の血液検査においても異常は認められなかった。
術後検診として腹部超音波検査を用いて顆粒膜細胞腫の予後を観察している。
現在経過良好
担当医:白井 顕治
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