体表に形成された腫瘤は、こすれたり舐めたりすると良性でも悪性でも感染を伴い、ペットに不快感を与えます。大きい腫瘍だからといって必ずしも悪性とは限りません。検査を行い適正に対処することにより、より快適な生活をさせてあげましょう。
実績詳細
ゴールデンレトリバーの皮膚付属器母斑(過誤腫)
検査結果
左肩体表に拳大の腫瘤を認めた。
舐めているため化膿性炎症を起こしている。
診断のため針吸引生検を実施したところ以下のような結果が得られた。
以下細胞診所見ーーー
化膿性の炎症が認められますが、角化物が多量に得られていることから、角化物含有嚢胞の内容物に対する炎症反応であることが考えられます。角化物が貯留する嚢胞は、非腫瘍性の表皮嚢胞や皮膚付属器母斑、毛包系の腫瘍性病変である毛包上皮腫や漏斗部角化棘細胞腫など様々な病変で形成されます。
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治療方法
細胞診結果より、良性の腫瘍疑いである事が示唆されたため、ご家族と相談した結果手術を行うこととした。
術前
毛刈り後
切除後の左肩、切除された腫瘤、および縫合後の術創
以下病理所見ーーー
摘出された皮膚腫瘤は、一種の組織奇形と考えられる母斑と判断されます。非腫瘍性の病変で、本来の皮膚の構成成分が不規則配列し、腫瘤状を呈することが特徴となっています。特に、刺激の加わりやすい部位に発生しやすい傾向があります。病変内には炎症が加わっており、非常に大型の腫瘤が形成されていますが、摘出状態は良好で、今回の外科的な摘出により予後は良好と考えられます。
治療・術後経過
術創も感染を起こすことなく良好に癒合した。
元気食欲ともに良好
担当医:白井 顕治
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