犬の体表にできるできものの7割程度は良性腫瘍であるとの統計が出ていますが、特に皮膚粘膜移行部(口や肛門付近など)や四肢趾端は悪性腫瘍が割と発生しやすいということが言われている部位です。
今回のように無計画に手術を行ってしまうと、再発した腫瘍は術前と比較すると確実に悪性度が高くなっているため、良い手段とは言えません。
必ず細胞診や組織診断を行ったのちに手術の計画を立てて治療を実施していくことが重要です。
実績詳細
シュナウザーの趾端のメラノーマ
種類 | ミニチュアシュナウザー |
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年齢 | 12歳 |
診療科目 | 腫瘍科 |
症状 | 後肢の趾端にメラノーマができた |
症状の概要
検査結果
症例は他院で趾端のできものの摘出を行ったのちに、その腫瘤が再び大きくなった。
再発が認められたため、他院で以前に摘出した腫瘤の検査を行ったところ、メラノーマと診断されたとのことだった。
当院においてはセカンドオピニオンとして来院した。
検査を実施したところ、症例は左後肢趾端に直径10mmほどの黒色の腫瘤があり、また、同側の膝窩リンパ節の腫脹も認められた。
血液検査では特に異常は認められず、また、腹部超音波検査においても腹腔内リンパ節の腫脹は認められなかった。
治療方法
治療方法として
部分切除及びリンパ節の廓清
断脚
保存療法
等をあげ、ご家族と相談した結果、保存療法を希望されたため、その後は局所の腫れや出血、痛みに対して止血剤や鎮痛剤、また、腫脹の進行に対して局所投与の抗がん剤や凍結処置を行って対処することとした。
治療・術後経過
その後、ほかの臓器に転移は認められ無かったが、治療開始約1年後より散発的にてんかん様発作が起こり始め、症状の進行を認めた。
現状よりメラノーマの脳転移の可能性が高いと判断した。
対症療法を行いつつ自宅で看取ることとした。
犬種から考えられる年齢から鑑みても、天寿を全うすることができてよかったということで、ご家族は安心されていました。
担当医:白井 顕治
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