食事ではないものを口から飲み込んでしまうことを異物誤嚥とする。異物誤嚥、誤食を起こした場合には大きく分けて、その異物が物理的に消化管を閉塞・貫通してしまうなどの障害を起こしてしまう場合と、体に吸収されることによって中毒症状を起こしてしまう場合がある。
今回のヘアゴムは前者の物理的な障害を起こしてしまうような状態である。このような異物を飲み込んだとしても、吐いたり便から出したりできることもあるが、被毛や食渣、異物同士で絡まってより大きな異物になってしまうような場合では催吐させて吐かせるという行為を行っても、出すことはできない。
異物が食道~胃にある時には内視鏡での摘出が可能だが、胃の次の小腸よりも先に運ばれてしまうと内視鏡での摘出は適応外なので、開腹下での消化管切開による摘出の適応となる。
実績詳細
猫の異物誤食(ヘアゴム)の内視鏡による摘出【動画】
種類 | ネコ |
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年齢 | 2歳 |
診療科目 | 内科 消化器科 |
症状 | 今朝から嘔吐をし始めた。食欲がない |
症状の概要
検査結果
問診の結果、症例はたびたび異物を食べてしまい、その都度吐いて出したり便に混ざって出るなどをしていたという経歴があったようなので、異物誤食の可能性を調べるために腹部単純レントゲン撮影を実施した。
レントゲンにおいて胃内にかなりの量の線状の構造物が確認された。
少量でなかったため、これが今回の症状の原因と暫定的に定めた。
また、腹部超音波検査において小腸領域に閉塞像は認められなかったため、異物は胃内にあると判断した。
治療方法
胃内異物という事なので、ご家族と相談した結果、内視鏡による摘出を選択した。
治療・術後経過
内視鏡下で胃内の異物を摘出し、ヘアゴムであることが確認された。
摘出後の胃内を探索したところ、胃粘膜の炎症が起きていたため、術後は胃粘膜保護剤の内服を数日間行った。
処置翌日から自力で接触をはじめ、症状は改善したため、治療終了とした。
経過良好。
担当医:白井 顕治
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