近年、慢性腎不全という用語から、慢性腎障害という用語に移行しつつあるため、本ページにおいても慢性腎障害という言葉を使用する。
猫の慢性腎障害は、様々な要因により引き起こされる腎機能が低下している状態である。どのような理由であるのかの確定に関しては、腎生検が必要とされる場合も多いが、日本国内では慢性腎障害の猫に対する腎臓生検はあまり実施されていない。
治療の主なポイントとして、「良くする・完治させる」ではなく、「悪化させない・現状を維持する」という事が治療目標となる。
治療に関して最も重要な因子は食事療法といわれており、食事を変更することがなかなか難しいこともありますが、何とか取り入れたい治療法です。
また、定期検診に関しては、当院においては3-4か月おきに尿検査、6-12か月おきに血圧測定・血液検査を実施しています。
尿検査については、膀胱炎や血尿、蛋白尿の検出、血圧測定に関しては、高血圧症の有無の確認、血液検査においてはリンやクレアチニン値の値を指標にし、悪化していないか、悪化を促進させる因子が発生していないかを確認して健康状態を維持していきます。
内科療法は地味な経過観察が続いて途中でなおざりになってしまうこともありますが、丁寧に見てあげることによって良好な結果が出せる分野でありますので、丁寧に経過観察を実施してあげましょう。
ただし、猫に関しては丁寧すぎると、検査や診療ストレスにより特発性膀胱炎を発症してしまうことも少なくないため、本人(ネコちゃん)が許容できる範囲での検査を実施していくことが重要です。
実績詳細
ベンガルの慢性腎障害の内科管理
種類 | ベンガル |
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年齢 | 10歳 |
診療科目 | 泌尿器科 |
症状 | 定期健診の際に、初期の腎障害を確認 |
症状の概要
検査結果
症例は臨床的には症状も呈しておらず、健康的だった。
年齢的に定期検診をお勧めし、まずは血液検査を実施することとなった。
血液検査においてクレアチニンの軽度の高値が認められたため、慢性腎障害のグレード2と判断された。
治療方法
食事を腎臓病用療法食に移行するとともに、定期検診として尿検査・血圧測定・血液検査を実施していくこととした。
治療・術後経過
現在、蛋白尿・高血圧・高リン血症も起こしておらず、また、クレアチニン値も維持しているため、良好に管理できている。(診断時より2年経過)
担当医:白井 顕治
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