実績詳細

ミニチュアダックスの下顎に形成されたメラノーマ

種類 ミニチュア・ダックス
年齢 12歳
診療科目 腫瘍科 
症状 口と乳腺部にしこりがある

症状の概要

悪性黒色腫(メラノーマ)は、色素を産生するメラノサイトが腫瘍化したものである。主に体表に形成され、口腔内や足端、体幹部体表のどこに形成されるかによって悪性度や挙動が異なる。悪性度が高い順に口腔内>爪床・足先>体表となる(口腔内が最も悪性挙動)。最も悪性度の低い体表に形成された場合には、一般的に周知されている本腫瘍の悪評よりは良い結果が得られることも多い。
また、メラノーマは黒色の色素を産生していることから外見上、黒い墨のような色をしていることがあるがより悪性度が上昇すると、色素を産生しなくなることもあるため、やはり外見での診断は行うことができない。全体数でいうと1/3が無色素性であるといえる。また、リンパ節への転移も比較的よく起こすため、注意が必要である。

検査結果

症例は初診で来院し、下顎先端と乳腺部にしこりが認められた。

乳腺部のしこりについては、針吸引生検を実施し、下顎先端については、局所麻酔下で組織生検を実施した。

 

ー以下細胞診、病理所見ーー

口腔内の組織では、メラニン色素を有する非上皮性の悪性腫瘍が形成されており、悪性黒色腫と診断されます。悪性度の高い腫瘍であることから、局所病変の拡大や深部骨の破壊、リンパ節などへの転移について、経過には注意が必要です。
乳腺の腫瘤からは多数の上皮細胞が得られており、乳腺腫瘍が疑われますが、過形成との鑑別は困難です。異型性は乏しく、乳腺腫瘍である場合には良性の乳腺腺腫などが疑われますが、乳腺腫瘍の悪性度は細胞異型性の程度と相関していない場合があり、また乳腺腫瘍は増大すると悪性に転化する可能性が示唆されています。

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診断、口腔内メラノーマ及び乳腺腫瘍(良性・悪性の判断は現段階ではつかず)

治療方法

頸部の触診及びレントゲン写真を撮影すると、すでに内側咽喉頭リンパ節が腫大しておりメラノーマの転移が始まっていることが強く示唆されたため、ご家族と相談した結果、手術や放射線療法ではなく、内科的に対症療法を実施していくという治療方針で緩和ケアを実施した。

治療・術後経過

緩和ケア開始から4か月後、神経症状が発現したため、脳転移が起きたことが推測された。

 

その段階から予後不良となったが、4か月の間は食欲旺盛で誤嚥性肺炎も起こさずに生活することができた。

 

担当医:白井 顕治

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