鼠経ヘルニアは、下腹部の鼠経輪より腹腔内の臓器が脱出してしまう状態で、分け方にもよるが、大きく分けて先天性(生まれつき)と後天性に分類される。
先天性はオスで発生が多く、精巣の下降と関連しているといわれています。会陰ヘルニアを併発することもあるため、鼠経ヘルニアを先天的に発症したワンちゃんは注意して会陰部を観察しておくとよいでしょう。
一方後天性の鼠経ヘルニアはトイ犬種の中年齢の未避妊の雌に多く、ヘルニアの内容物としては子宮が比較的よく認められます。片側性の場合には左側の発生率が多く、今回の症例も典型的といえます。
片側を手術した場合、もう片方の鼠経ヘルニアが発生・悪化することもあるため、術後注意して観察する必要があります。すでに鼠経ヘルニアがj発生している場合には、両側の手術を実施する必要があります。
実績詳細
チワワの鼠経ヘルニア(子宮脱出)
種類 | チワワ |
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年齢 | 12歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 |
症状 | おっぱいが腫れている |
症状の概要
検査結果
症例は左第五乳腺部が顕著に腫脹していた。
外貌や位置より、鼠経ヘルニアの可能性を疑い、超音波検査を実施したところ、腫瘤内に子宮とみられる構造物が確認されたことから、後天性の鼠経ヘルニア(子宮脱出)と診断を下した。
食欲はあるが、元気がなく動き回らなくなったという症状も出ているため、ご家族と相談した結果、整復手術を行うこととした。
治療方法
ヘルニア嚢を切開し、子宮を確認するとともに、腹部正中切開を行い、腹腔内側から子宮を正常位置に牽引した。
腹腔内側から見る脱出した子宮
整復された子宮(超音波検査において内膜に濾胞過形成を疑う異常が認められたため、同時に卵巣子宮摘出を実施した。)
ヘルニア嚢は縮小手術を行った後に、鼠経輪の縫縮を実施した
術後外観
治療・術後経過
術創は良好に治癒し、治療終了とした。
担当医・執刀医:白井顕治
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