軟部組織肉腫は、血管や繊維組織などの軟部組織を由来として発生する悪性腫瘍群の総称である。由来や発生部位によって異なるが、一般的には転移率は低めであり、第一選択となる治療方法は外科的な摘出となる。
外科摘出によって
しっかりと摘出することが最も重要であるため、しっかりと手術計画を立てることが重要である。
また、指先の手術では、できた場所、摘出する指によって、摘出後の歩行の様式やリハビリが必要になる程度が異なる。摘出前から、どのようなリハビリが必要になりそうかを相談しておくことも、重要なポイントである。
実績詳細
マルチーズの指端に形成された軟部組織肉腫
種類 | マルチーズ |
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年齢 | 10歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 腫瘍科 |
症状 | 右前足の指が腫れていて、気にしてなめている |
症状の概要
検査結果
症例は右前足の第2指が腫脹しており、気にしてなめていた。
なめる刺激や、感染による炎症を除外する目的で、エリザベスカラーを装着して抗生剤と消炎剤の内服を行って経過を観察した。
1週間後、腫瘤が拡大していたため、細胞診を実施した。
ー-以下細胞診所見ー-
中程度の異型性を示す間葉系の細胞が得られており、血管周皮腫などの軟部組織肉腫が疑われます。
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細胞診所見を受けて、悪性腫瘍に分類される軟部組織肉腫であることが示唆されたため、外科的な摘出を行うこととした。
治療方法
指先の外科においては、そのまま切開を行うと出血や炎症が激しくなるため、血流減少措置を実施してから手術を行った。
手術前
切除後。出血は認められない。
縫合後。血流が戻り、血色がよくなっていることがわかる。
治療・術後経過
手術翌日より患肢を負重して歩行していた。
手術から2週間後、抜糸を行った。
ー-以下病理所見ー-
右前肢第2、3指の腫瘤は、中間悪性度の軟部組織肉腫(血管周皮腫)と診断されます。腫瘍の境界は比較的明瞭で、マージン部に腫瘍性の病変は認められず、断端まで4mm程度のマージンが含まれています。摘出状態は良好と考えられますが、念のため、経過観察をお勧めします。
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摘出状態が良好であるため、いったんここで治療終了として、経過を観察していくこととした。
担当医・執刀医:白井 顕治
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