消化管穿孔が起こった際、通常は内容物が腹腔内に漏出することによって腹膜炎が発生するが、胃の穿孔が起こった場合には、pHが高いため、腹膜炎という所見と比べると気腹の症状が強く出ることが多い。
消化管穿孔が起こっている場合には、自然に穿孔部位が治癒することはないため、開腹して穿孔部位の閉鎖や切除を行う必要がある。緊急性が高い状態であるといえる。
実績詳細
胃の外傷性裂傷による気腹が発生した猫
種類 | 雑種ネコ |
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年齢 | 8歳前後(正確な年齢不明) |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 消化器科 |
症状 | 2週間前から、おなかが膨らんできた。避妊手術はしているはず。 |
症状の概要
検査結果
症例は腹囲膨満が認められたため、レントゲン検査を実施したところ、気腹が認められた。
気腹が発生している場合、高い確率で上部消化管、特に胃の穿孔(穴が開いてしまっている)が疑われる。
腹腔内に漏出しても障害の少ないヨード系造影剤で造営検査を実施したところ、造影早期から腹膜が強調されたことと、腎臓及び膀胱が造影されたため、消化管穿孔を起こしていることが明らかとなったため、試験開腹を行った。
治療方法
腹部正中切開を実施し、腹腔内を精査したところ、胃体部が左腹壁に癒着していることが確認された。
癒着を剥離している
癒着を剥離して精査すると、胃壁に裂傷が確認され、中から胃内容物が漏出していることが確認された。
腫瘍による穿孔や胃潰瘍によるものも除外できないため、穿孔部位を含めて胃壁の部分切除を実施した。
切除した胃壁と縫合後の胃
治療・術後経過
症例は術後より気腹は認められなくなり、術後1週間で自分から食事をするようになった。
病理検査では慢性の炎症は認めらたものの、潰瘍や腫瘍性病変は認められなかったため、胃物による穿孔が疑われた。
経過良好
担当医:白井 顕治
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