多発性筋炎は全身性炎症性ミオパチー(筋症)である。原因によって感染性と非感染性に分けられるが、本症例では免疫介在性と判断された。原因は不明であるが、犬では年齢や犬種ごとに好発条件はわかっていないが、大型犬や高齢犬に多いとされている。
実績詳細
ミニチュアダックスフントの多発性筋炎
検査結果
症例は常に流涎しており、口腔粘膜及び周辺の皮膚が炎症を起こしていた。
症例がずっと水を飲んでいるのにもかかわらず、器から水分が減っていないことから、透視検査を実施すると、嚥下不全が認められた。
麻酔下で口腔内の清掃及び精査を実施し、委縮した舌や炎症を起こした頬粘膜を確認した。
一部を組織生検して病理検査を実施した。
ー--以下病理所見ー-
舌では、顕著な筋肉の減少と間質の線維化が起こっています。残存する領域では、小型のリンパ球の浸潤が起こっており、慢性の筋炎が起こっていると考えられます。筋炎の原因は不明ですが、多発性筋炎などが鑑別に挙げられます。全身的な疾患と考えられることから、その他の部位の筋肉の状態も精査をお勧めします。
頬や口唇粘膜には、慢性の炎症が起こっていますが、明らかな上皮細胞の傷害は認められず、物理的な刺激により引き起こされた変化と考えられます。
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治療方法
多発性筋炎は自己免疫性疾患であるため、ステロイド剤を中心とした免疫抑制療法を実施した。
治療・術後経過
治療開始後、嚥下機能が改善されていき、栄養状態や口腔周囲の粘膜や皮膚の状態も改善されてきた。
継続的な内科療法を実施し、経過観察していくこととする。
担当医:白井 顕治
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