ミニチュアダックスフントの直腸に形成される炎症性ポリープは自己免疫性疾患と考えられているため、基本的な治療は免疫抑制療法によるものとなる。直腸プルスルーや、直腸粘膜プルスルーなどの手術を実施することもあるが、手術によって完治するものではなく、術後に再び腫瘤が形成されてしまうこともあるため、手術は完治のために実施するものではなく、あくまで内科でコントロールできなくなったときに症状を緩和させる目的で実施するものと考えたほうが良い。腫瘤を減容積するだけでも症状が緩和されることもあるため、ポリペクトミーなどによって腫瘤を部分切除することも有用である。
実績詳細
12歳のミニチュアダックスフントの直腸に形成された炎症性ポリープ(ダックスポリープ)
検査結果
症例は中高齢のダックスフントであった。
直腸検査を行うと、複数の腫瘤が触知されるとともに触診した指に血液が付着していた。
犬種及び既往歴から、炎症性ポリープが疑われたため、下部内視鏡検査を実施することとした。
検査準備、浣腸を行い、直腸内の糞便を排泄させておく必要がある
内視鏡挿入直後に大型の腫瘤を確認した。
腫瘤を超え、直腸から結腸へ向かうと、正常な粘膜が確認された。
内視鏡を戻し、腫瘤を切除して病理検査を実施した。
ー-以下病理所見ー-
検索した直腸では、大腸粘膜における陰窩の拡張と炎症反応が認められ、ミニチュアダックスフントに好発する炎症性ポリープと診断されます。今回検索した組織では、明らかな腫瘍性の病変は認められませんが、多発傾向や病状の進行について注意が必要です。
ー-ー-
病理診断によって、炎症性ポリープという確定診断を行った。
治療方法
ステロイド剤を中心とした免疫抑制療法及び高繊維食の給餌を行った。
その結果、症状を見ながらステロイド剤を漸減し、最終的には食事療法と、数日に一回程度のステロイド剤の内服によって症状を維持緩和させることができた。
治療・術後経過
この疾患は途中から症状が悪化することもあるため、注意しつつ経過観察を行っていくこととした。
経過観察中
担当医:白井 顕治
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