実績詳細

雑種犬の指間に形成された肥満細胞腫(グレード2、c-kit変異なし)

種類 雑種犬
年齢 6歳
診療科目 軟部外科・整形外科 腫瘍科 
症状 指の間にしこりがある

症状の概要

指端には肥満細胞腫やメラノーマなど、比較的悪性度の高い腫瘍が形成されることがあるため、発見した場合には細胞診の検査を行うことが大切である。細胞診の検査所見をもとに、治療計画を立てて手術を行うことが、治療において大切なポイントと言える。

検査結果

症例は30キロ程度の大型犬であった。
指間に小さな腫瘤が形成されたということが主訴だったため、細胞診を実施した。

 

 

ー--以下細胞診所見ー--

 

肥満細胞が集塊状に得られていることから、肥満細胞腫と考えられます。腫瘍細胞に強い異型性は認められませんが、肥満細胞腫は転移する可能性がある腫瘍です。

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細胞診所見をもとにc-kit遺伝子ITD変異検査を実施したところ、c-kit遺伝子に変異は認められなかった。

 

 

治療方法

ご家族と相談した結果、指を含めて拡大切除を行うこととした。

 

術前と、切開線を入れたところ

切除後

 

 

縫合後

 

ー-以下病理所見ー-

 

検索した指端部の腫瘤は、グレード2の肥満細胞腫(2段階評価では低悪性度)と診断されます。脈管内に明らかな腫瘍性の病変は認められませんが、腫瘍の境界は不明瞭で、指間部の皮下の断端マージン付近にも腫瘍細胞が認められます。指端部に形成された、やや大型の腫瘍であることから、引き続き、局所再発や所属リンパ節の状態について、経過には注意が必要です。

 

 

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治療・術後経過

症例の体重が重かったため癒合に時間がかかったが、術後1か月で術部は安定した。

 

マージン周囲に腫瘍細胞が認められたものの、低悪性度であり、c-kit遺伝子変異も認められないということから、ご家族と相談した結果、術後の抗がん剤は実施せずに、経過を観察していくことを希望とのことだった。

 

 

 

現在術後2年経過しているが、再発の兆候は認められない。

 

担当医・執刀医:白井 顕治

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