前十字靭帯は後肢の膝関節内にある靭帯で、太ももの大腿骨と脛の脛骨を結んでいる靭帯です。前十字靭帯の損傷(部分断裂や完全断裂)は小型犬から大型犬、さまざまな犬種で発生します。ほとんどが二次性の変化(変性)によるものとされており4-6歳くらいから発生し始めます。シベリアンハスキーやコーギーなど、犬種によっては1-2歳と若くして断裂してしまうこともあるため、年齢のみで診断をすることはできません。
損傷してしまった際の臨床症状として、多くは急性の跛行を示します。診断はレントゲンや触診、場合によっては関節エコーを実施することによって行います。
治療方法として、前十字靭帯損傷・断裂による膝の不安定や内側半月板損傷による疼痛を改善させるために手術を選択することが多いです。手術の方法もモノフィラメントナイロンなどを使用する関節外法と、骨切りをして脛骨の前滑りを防止するTPLO法が主に選択されます。この2つを比較するとTPLO法の方が術後早期の機能回復が良好であり、骨関節炎の進行が軽度になるなどのメリットがあります。
実績詳細
チワワの前十字靭帯断裂に対するTPLO(脛骨高平部水平化骨切術)
種類 | チワワ |
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年齢 | 10歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 |
症状 | 1週間前くらいから右後肢のびっこがある |
症状の概要
検査結果
【所見・診断】
右後肢の負重性の跛行を認める
触診によりドロワー試験陽性、スラスト(脛骨圧迫)試験陽性、右膝の伸展時疼痛あり
その他腰や四肢に痛みなし
【検査・治療】
レントゲン検査にて右膝にてファットパッド陽性、脛骨の前方変位認める
以上のことから右膝の前十字靭帯の断裂と診断。
術前レントゲン写真
治療方法
前十字靭帯断裂に対しTPLO法(脛骨高平部水平骨切り術)を実施した。
手術直後のレントゲン写真
治療・術後経過
手術翌日より患肢の接地を認め、良好な経過をたどっており、術後2ヶ月で骨癒合も認め、目立った跛行もなく元気に走り回っているので治療終了とした。
術後二か月のレントゲン写真
担当医・執刀医:清水 健
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