軟部組織肉腫は筋肉や靭帯、血管などの軟部組織が悪性腫瘍化した腫瘍の総称であり、繊維肉腫や血管周皮腫などが軟部組織肉腫に分類される。
典型咳な軟部組織肉腫は、ゆっくりと拡大し、局所浸潤が強く、転移率は低い。ただし、肉腫であってもこれに該当しない挙動を取る腫瘍が存在するため、腫瘍の種類を知ることは治療を適切に行うにあたって最も重要といえる。
実績詳細
柴犬の肘外側に形成された軟部組織肉腫
種類 | 柴犬 |
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年齢 | 12歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 腫瘍科 |
症状 | 肘に大きな腫瘍ができている |
症状の概要
検査結果
症例は右ひじに大型の腫瘍が認められるという主訴で来院した。
診断を目的として、全身麻酔下でCT撮影および切開生検を実施した。
ーーー以下病理所見ーー
右肘の腫瘤は、非上皮性の腫瘍が形成されており、肉腫と診断されます。細胞形態からは、中間悪性度程度の軟部組織肉腫の可能性が第一に考慮されますが、病変が広範囲に広がっているようであれば、腱鞘や滑膜を由来とする肉腫の可能性も鑑別に挙げられます。病変の広がりについて、評価をお勧めします。
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細胞診でのリンパ節転移所見はなく、CTの結果も同様であった。
治療方法
ご家族と相談した結果、断脚による摘出に抵抗があるとのことであったため、足を温存する方向の治療計画を立て、切除を行った。
術後1週間
ーーー以下病理検査所見ーー
右前肢の腫瘤は、中間悪性度の軟部組織肉腫(血管周皮腫/血管周囲壁腫瘍)と診断されます。大部分の腫瘍の境界は明瞭ですが、腫瘍は一部で水平方向に広がり、片側腫瘤長軸水平マージンに波及し、一部では底部マージンにも腫瘍細胞が認められます。局所再発率の高い腫瘍であることから、引き続き、経過観察をお勧めします。
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治療・術後経過
皮膚が無事閉創したため、治療終了とした。
足を温存することが目的であったため、底部マージンが一部不良であった。
現在経過観察中
担当医・執刀医:白井 顕治
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