実績詳細

柴犬(16.5kg)の前十字靭帯断裂に対するTPLO術(脛骨高平部水平化骨切術)

種類 柴犬
年齢 7歳
診療科目 軟部外科・整形外科 
症状 左後肢を痛そうにしている。散歩に行きたがらない

症状の概要

前十字靭帯断裂の手術にはいくつかの方法がありますが、**機能回復の点で最も優れているとされるのがTPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)**です。

柴犬のような中型犬では、体重による膝関節への負担が大きく、単純な関節外法では再断裂や慢性的な不安定性が残ることがあります。TPLOでは、脛骨(すねの骨)の角度を調整し、膝関節にかかる力の方向を変えることで、靭帯がなくても関節が安定する構造を作り出します。

この力学的な安定性により、術後1〜2週間で足をつけ始め、1〜2か月でスムーズな歩行が可能になるケースが多くみられます。
また、筋肉量の維持や可動域の回復が早いことから、スポーツドッグや活発な犬種にも最適な方法とされています。

当院でも、柴犬のように運動量が多く筋肉のしっかりした犬では、TPLOにより早期かつ安定した機能回復が得られています。

検査結果

歩行時に左後ろ足をかばうような様子が見られたため、膝関節の検査を実施しました。
膝の靭帯のゆるみを調べる「前方引き出しテスト」および「脛骨圧迫テスト(クラニアルドロアテスト)」で陽性反応があり、
さらにレントゲン検査で膝蓋靭帯付近に特徴的なファットパッドサイン(脂肪体のズレ)を確認。
これらの所見から、前十字靭帯断裂と診断しました。

治療方法

 

 

まず、変性して切れてしまった前十字靭帯と損傷した内側半月板を丁寧に除去しました。
その後、脛骨(すねの骨)にマーキングを行い、ラウンドソーで計画的に骨をカット。
角度を調整して骨を回転させ、TPLOプレートでしっかりと固定することで、膝の安定性を取り戻しました。

 

 

この子は術前の血液検査でクレアチニン値がやや高く、腎臓への配慮が必要な症例でした。
そのため手術前後に長めの点滴を行い、腎臓の数値を慎重にモニタリングしながら処置を進めました。
幸い、手術および術後経過の中で大きな変動はなく、安定した全身状態を維持することができました。

治療・術後経過

手術から10日目ごろより足をつき始め、3週間後にはしっかりと歩行できるようになりました。
体格の大きい子でしたが、順調な回復経過をたどることができました

 

 

柴犬は日本でも前十字靭帯断裂が比較的多い犬種のひとつです。
特に体重がやや大きめの子では、膝への負担が増えるため、適切な手術とリハビリがとても大切です
また、今回のように持病や血液検査で注意が必要な場合でも、しっかりと全身管理を行うことで安全に治療を進めることができます。

症状が見られた場合は、早めの受診・相談をおすすめします

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