前十字靭帯断裂は、適切な外科治療とリハビリテーションにより、非常に良好な予後が期待できる疾患です。
特にTPLO法を行った場合、靭帯の代替ではなく「関節の力学バランスを再構築」するため、長期的にも安定した歩行と関節機能を維持できることが知られています。
一般的に、
術後2週間で足をつき始め、(早い場合には翌日から負重を始めることもあります)
1か月でほぼ通常歩行、
3か月前後で筋肉の張りが回復する
という経過をたどる犬が多いです。
ただし、体重の増加や関節炎の進行がある場合は、回復に時間がかかることもあります。
当院では、術後の再診・レントゲン評価・運動制限の指導を段階的に行い、再発防止と筋力回復の両立を重視しています。
また、再発率は非常に低く、多くの犬が手術前と同じように走ったり階段を上ったりできるようになります。
本症例のような中型サイズのミックス犬でも、術後のリハビリ次第で良好な結果が得られる傾向にあります。
実績詳細
ミックス犬(5.8kg)の前十字靭帯断裂に対するTPLO術(脛骨高平部水平化骨切術)
種類 | マルチーズ×シーズー |
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年齢 | 7歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 |
症状 | 右後肢を挙げている。 |
症状の概要
検査結果
7歳のミックス犬が右後肢の跛行を主訴に来院しました。
身体検査にて膝関節の不安定性を認め、整形学的検査を実施しました。
クラニアルドロアーサイン(cranial drawer test)および脛骨圧迫試験(tibial compression test)で陽性反応を示し、
前十字靭帯の断裂が強く疑われました。
さらに、膝関節のX線検査にて**ファットパッドサイン(fat pad sign)**を確認し、
**前十字靭帯断裂(cranial cruciate ligament rupture)**と診断しました。
治療方法
関節包を開放し、関節内を観察したところ、前十字靭帯の完全断裂を確認した。
断裂した靭帯組織を除去し、同時に損傷していた内側半月板を切除した。
その後、ラウンドソーを用いて計画通りに脛骨高平部の骨切りを実施し、
脛骨後平部を回転させて適正な脛骨高平部角(TPA)となるよう調整した。
骨片を整復後、TPLOプレートを設置し、スクリューで固定した。
治療・術後経過
手術後の経過はとても順調で、術後3日目に退院しました。
退院時にはすでに手術した足で軽く体重を支える様子が確認されました。
2週間後に抜糸を行った時点で、跛行は大きく改善。
その後は月に一度の検診で状態を確認しながら経過観察を行いました。
骨の癒合も良好で、歩行機能が安定したため治療を終了としました。
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