目次
猫の便秘とは?
便秘とは、便が通常通りに排泄できない状態です。
通常の排便の回数は?
ねこの通常の排便回数は、およそ2日に1回~1日2回程度です。毎日出ることは重要ではなく、定期的に同じような量が特に苦痛もなく排便されている場合には2日に1回程度ということもあり得ます。
猫の便秘の症状は?
便秘になると、おなかが張ってしまい苦しくなります。トイレに何度も通ったり、腹痛によってお腹をなめたりする症状も見つめられることがあります。
便が出ないというだけでなく、便秘が続くと下痢が出ることもあり得ます。また、大型の便が溜まってしまった場合には排尿困難になってしまうこともあります。
食欲は下がることもあれば、そのままのこともあります。ただし、便が出ていない状況である場合には、食べても吐いてしまうということを繰り返します。
あまりに便が出ないと、トイレに通うことをあきらめぐったりしてしまうこともあります。緊急性が高い状態といえます。
便秘の原因は?
便秘の原因は様々です。
食事内容に問題があったり、本人の活動性に問題があったり、本人の腸管の運動性の低下がかかわっていたり、腎臓などほかの疾患がかかわって便秘になってしまうこともあります。
肥満や腎疾患も便秘のリスクを上昇させます。過去に交通事故にあったり、骨盤骨折を起こしたりしている猫においても高確率で便秘が発症します。
また、便が出ないからと言ってすべて便秘という診断ではなく、泌尿器の異常であったり、腫瘍による排便困難だったということもあります。
便秘の診断は?
便秘の診断は、触診およびレントゲン検査によって行われます。
マッサージは効果がある?
結腸の形に添って、おなかを「の」の字にマッサージすると出るというようなことが書かれているサイトも存在します。私自身、腹膜炎と腸の癒着を患っていた際に運動で改善したり、水から飼育していた猫が長期間便秘を患っていたためマッサージを行ったこともありますが、結論とすると
【便秘に対しておなかのマッサージは効果があるが、限界がある。】
ということです。
やらないよりはやってみてもいいが、
マッサージを行っても出ない、もしくは、マッサージをしている段階で、かなり硬いうんちが触ってわかるような場合には、もはやマッサージで出るレベルではないと考え、動物病院を受診しましょう。
便秘の治療は?
初期治療としては、補液や浣腸、用手による排便が挙げられます。
すでに骨盤周辺で詰まってしまっている糞塊を取り除かなければ便秘は改善されません。その後、傾向で便秘を改善するための食事やサプリメントを服用し、便秘の再発を予防していきます。
便秘の治療では麻酔をかける?
用手によって排便をする場合、強い痛みを伴う場合や暴れてしまう場合には鎮静や麻酔をかける場合もあります。
便秘の治療方法は?
初期治療のためには直腸検査やレントゲン検査、便摘出の費用が掛かることとなります。また、継続治療のためには食事療法やサプリメントの費用が掛かります。
手術をすることはある?
糞塊があまりに大きく、硬い場合にはその周囲への影響を考え、開腹を行い糞を摘出することがあります。頻度は多くなく、当院においては過去15年間の診療記録の中で便秘で開腹手術をした症例は1件のみです。
食事やサプリメント
食事やサプリメントによって便秘を改善・症状を維持させることは可能です。
この記事では特におすすめの食事やおすすめのサプリメントを例示することはできませんが、各獣医師に相談して食事やサプリメントに関して判断を仰ぎましょう。
まとめ
猫は比較的便秘になりやすい動物です。トイレに何度も通ったり、便が出ていないと感じた場合には動物病院を受診しましょう。
著者プロフィール
白井顕治(しらい けんじ)院長
獣医師、医学博士
日本動物病院協会(JAHA)獣医内科認定医・獣医外科認定医・獣医総合臨床認定医
千葉県で代々続く獣医師の家系に生まれ、動物に囲まれて育って、獣医師になりました。「不安をなくす診療」を心がけて診療にあたるとともに、学会参加や後継の育成を行っています。
当院は国際ねこ医学会(isfm)よりキャットフレンドリーゴールド認定を受けている病院です。