平滑筋腫は下腹部、骨盤腔内に直腸や子宮、膣に由来して比較的よく形成される良性の腫瘍である。
骨盤腔内であることから摘出は腹腔内もしくは会陰部のどちらか摘出が実施しやすいほうから行うこととなる。良性腫瘍に分類されるため、摘出ができた場合の予後は良好であることがほとんどである。
骨盤腔内は骨に囲まれた場所であるということと、重要な神経や兵便と排尿に関連した構造が多く存在するため、良性であっても経時的に拡大するようであれば手術により摘出することが推奨される。
実績詳細
イタリアングレーハウンドの直腸に形成された平滑筋腫
種類 | イタリアングレーハウンド |
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年齢 | 16歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 腫瘍科 |
症状 | 血尿が出る |
症状の概要
検査結果
老齢の個体であり、既往歴として複数の免疫介在性疾患を患っている。
血尿の原因の精査のために超音波検査を実施したところ、骨盤腔内に直径4センチほどの腫瘤が認められた。
血尿との関連を考え前立腺由来の腫瘍かと考え精査を続けたが、腫瘤は直腸壁に固着している様子が確認された。
かなり大型の腫瘍ではあるが、現状では排便と排尿に異常は認められなかった。
経過観察を2~3週間実施したところ、その間にも拡大傾向が認められたため、持病を持ち高齢な症例であるが、ご家族と相談した結果、手術により摘出することとなった。
(血尿は一過性の膀胱炎によるもので、この腫瘤は完全に偶発的に発見されたと考えられる。主訴の血尿は経過観察中に治癒している)
治療方法
写真ではわかりづらいが、触診をすると下腹部骨盤腔内に腫瘤が蝕知される。
直腸をけん引し、腫瘤を露出させ、切除を行った。
切除後の腫瘤
切除後の直腸は狭搾を起こさないように縫合糸、術後しばらくは便軟化剤の使用を実施した。
治療・術後経過
ーーー以下病理検査ーーー
摘出された直腸の腫瘤は、平滑筋由来の良性腫瘍です。平滑筋腫は、直腸壁や骨盤腔などに好発する傾向があります。
腫瘤はやや大型で、最小限のマージンでの摘出となっていますが、腫瘍の境界は明瞭で、周囲組織への浸潤性は認められません。今回の摘出により予後は良好である可能性が高いと考えられます。
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術後より自力で排便排尿を行うことができ、慢性腎不全を患っていたが、術前と比較して悪化していなかったため、治療終了とした。
担当医:白井 顕治
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