腫瘍の治療においては一回目の手術が非常に重要となるため、しっかりと診断を行い、切除範囲を綿密に計画することが重要である。2回目、3回目と再発した腫瘍はほぼ必ず、悪性度が増した状態で再発が起きるため、治療成績は低下する傾向にあります。
本症例において未分化肉腫発生後に前立腺腫瘍が発生したことは因果関係は認められません。
実績詳細
イングリッシュコッカースパニエルの未分化肉腫
種類 | イングリッシュコッカ―スパニエル |
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年齢 | 5 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 腫瘍科 |
症状 | 後ろ脚の先が腫れている |
症状の概要
検査結果
元気食欲に異常は認められなかった。
身体検査所見の結果、左後肢 指端部に直径4センチほどの腫瘤が認められた。
診断のため、針吸引生検(FNA)を実施したところ、間葉系悪性腫瘍の疑いが強く示唆されたた。
ーーー以下細胞診所見ーーー
単一な細胞が一様性に多数認められ、比較的強い異型性を示していることから、悪性の腫瘍性病変が考えられます。細胞は相互に接着して密に集簇している部分と、個々に散在している部分が認められ、上皮由来か間葉系由来かの鑑別がやや困難です。血管周皮腫などの軟部組織肉腫が疑われますが、血管肉腫や悪性黒色腫など他の間葉系腫瘍性病変や、上皮性の悪性腫瘍病変も否定できません。
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治療方法
症例はこの腫瘤に対して他院で手術を受けており、現在の腫瘤は再発して形成されたものということで、拡大切除を行うために断脚術を行った。
手術後、数日で歩行が可能となった。
病理検査によって、未分化肉腫という診断がくだった。
ーー病理検査所見ーーー
左後肢の組織では、指端部を中心に骨組織を置換するように大型の腫瘍性の病変が形成されています。腫瘍は特徴所見に乏しく、由来については特定に至りませんが、骨組織を破壊して増殖していること、免疫染色では、組織球系、リンパ球系マーカーに陰性、間葉系のマーカーに陽性を示していることから、滑膜が由来である可能性が第一に考慮されます。悪性度の高い腫瘍であり、既に膝窩リンパ節には進行した転移性病変が形成されており、今後、肺やリンパ節などへの転移が危惧されます。全身状態について経過には注意が必要です。
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膝窩リンパ節に進行性転移性病巣が確認されたことから、切除範囲として断脚術が適当であった。
治療・術後経過
術部については良好に治癒し、症例は3本脚となったがお散歩にも行けるほどに軽快に歩行した。
当該腫瘍に関して経過観察を行っていたが、半年後に前立腺癌を発症した。
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