生き物の体の組織は、慢性的に何らかの刺激が加わると、その刺激に対して組織を増やして対応しようとする反応を起こす。この状態を原因にもよるが過形成や増生と呼ぶ。
今回の症例では何が慢性的な刺激になったかは明らかではなかったが、何らかの刺激によって喉頭蓋の軟骨が造成を起こしてしまい呼吸状態が悪化したために来院した。
組織を再在する際に、正常な形状になるよう軟骨増生部分を切除したところ、症状は改善した。
頻繁に報告されているような病状ではないため、原因については現在論文などを検索している。
実績詳細
キャバリアキングチャールズスパニエルに認められた喉頭蓋の軟骨増生
種類 | キャバリアキングチャールズスパニエル |
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年齢 | 10歳 |
診療科目 | 軟部外科・整形外科 呼吸・循環器科 |
症状 | 呼吸の音がおかしい 元気がない |
症状の概要
検査結果
症例は普段は元気活発な性格であるが、診察時沈鬱状態であった。
呼吸音に異常を感じたため、頸部レントゲン検査を実施すると、喉頭蓋に該当する部分の腫脹と石灰沈着が認められた。
レントゲン検査ではこれ以上喉頭の腫瘤に対する精査ができないため、咽喉頭の探査を目的に鎮静・麻酔下で検査を実施することとした。
治療方法
咽喉頭は浮腫を起こしていたため、局所に捨土井戸材の注射を行い浮腫を軽減させた。
また、喉頭蓋が不整に腫大していたため、一部を切除して検査を実施した。
ーーー以下病理所見ーーー
咽頭蓋の腫瘤より採取された組織は、不整な配列を示す軟骨基質が主体となっています。高分化な軟骨肉腫や軟骨腫と鑑別が困難ですが、慢性刺激による軟骨増生も否定できません。明らかな悪性所見は認められませんが、病状の進行について経過観察をお勧めします。
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治療・術後経過
複数回数調べるためにはその都度麻酔が必要になってしまうため、ステロイド剤の内服をしばらく行い、経過を観察するものとした。
その結果、症状はそれ以来再発することが無いため、可能性として何らかの刺激による喉頭蓋の軟骨増生であったと診断した。
現在、症状もなく元気に生活している。
経過良好
担当医・執刀医:白井顕治
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