まつ毛が原因で角膜に障害を起こす場合には必ず障害の部位とまつ毛の存在する部位が一致している必要がある。
今回の症例のように短頭種の眼球の中央部はまばたきもできず、障害を受けやすい部位である。角膜上皮が欠損してから感染が生じると、角膜実質の融解が起きてしまう可能性が出てくる。その場合においても、原因は外相と二次的な感染のため、手術が必要なこともあるが、最も大切なことは原因の除去である。
今回の症例では細菌感染が最も重大な障害の原因となっていたため、抗生剤によって症状が改善した。
実績詳細
シーズーの感染性角膜潰瘍
種類 | シーズー |
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年齢 | 1歳 |
診療科目 | 眼科 |
症状 | 他院にて角膜外科が必要といわれた。セカンドオピニオン |
症状の概要
検査結果
他院においては逆さまつ毛による外傷が原因という説明を受けていた。治療反応が乏しいため、手術が必要があるということで当院を受診。
診察を行うと、左右の目に複数の維持睫毛の異常は存在するが、起こっている左目の中心の潰瘍には関連する場所でなかったため、睫毛は異常であるが、今回の潰瘍の直接的な原因ではない可能性が考えられた。
潰瘍部を検査すると蓄膿しており、感染性に角膜融解が起こっていた。
治療方法
洗浄・眼の周囲の毛刈り・異常睫毛の除去を実施するために鎮静下で処置を行った。
除去された異常睫毛
潰瘍部の中央は淡黄色で、細胞診を実施すると多数の好中球と球菌が検出された。
治療・術後経過
顔周囲の毛刈り及び抗生剤の内服及び点眼、角膜融解阻害剤を使用した。
治療開始翌日
角膜浮腫や角膜・結膜充血の程度が改善している。潰瘍中心部の蓄膿が消失しているため、治療継続とした
治療開始1週間後
充血は消失し、角膜潰瘍部が盛り上がってきている。
治療開始2週間後
瘢痕組織として白い部分は残存しているが、フルオロセイン染色にも染まらないため、今後はヒアルロン酸の点眼を継続することとした。
担当医:白井 顕治
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